コロナショックで3倍レバレッジを買った話。勝ったのに、やめました
暴落・投資マインドこの記事はめちゃめちゃ長いです。気になる人は読んでね。
先に言っておきます。これは後出しです。
2020年のコロナショックで、SPXLを買いました。S&P500の3倍の値動きをするレバレッジETFです。インデックス投資の王道からは外れています。
ただし、投資資産に占めた割合は、多いときでも11%ほどです。土台はずっとインデックスのままでした。
そして勝ちました。4年半持って、利益は471万円 でした。
儲かった側が、あとから「やっぱりやめました」と書く。いちばん説得力のない立場だと思います。それでも書きます。手書きのノートと、投資計画書と、証券会社の取引履歴。全部残っているので、数字で追っていきましょう。
勝ったのに、やめたんか。
この記事の目次
- 2019年、NISAの枠をどう使うか考えていました
- 3月9日、まず「様子見」で買いました
- ノートに何を書いていたか
- 3月18日、1日で85万円入れました
- 4月19日、相場が戻りきりました
- 4年半持って、471万円でした
- 売るほうが、ずっと難しかった
- それでも、分の悪い取引でした
- そもそも、レバレッジ商品は必要ありませんでした
- 本当に学んだのは、別のことでした
- まとめ
1. 2019年、NISAの枠をどう使うか考えていました
長いあいだ、これは「色気を出した恥ずかしい話」だと思っていました。
色気を出したのは本当です。ただ、記録を見返すと、1年前から計画もありました。
損益が育ってきた年でした
2019年ごろ、資産の損益がしっかりプラスになってきました。
おぉ、こうやってインデックスは増えていくのか。
10年以上やって、ようやくそう感じられるようになった時期です。
NISAの5年が、使いにくかった
当時のNISAは年120万円・非課税期間5年です。いまの新NISAとは別物でした。
5年で終わる枠を、どう使えばいいのか。枠は小さいし、期間も短い。ここがずっと引っかかっていました。
そこで考えたのが、こういうことです。
枠が小さいなら、値動きの大きいものを入れれば、非課税の効きは大きくなる。
そのころ知ったのがSPXLでした。
相場が上がるなら、120万円の枠で最大の節税効果を出す方法として、かなり筋がいい。そう思っていました。
SPXLとは何か
先に、商品の説明をしておきます。
正式名称はDirexion デイリー S&P500 ブル3倍 ETF。名前のとおり、S&P500の1日の値動きを3倍にして追いかける商品です。
S&P500が1日で1%上がれば3%上がる。1%下がれば3%下がる。仕組みとしては、それだけです。
ただし「1日の値動きを3倍にする」ので、長く持つとズレが出ます。上下を繰り返すだけで、だんだん目減りしていく。信託報酬も年1%近くかかります。オルカンは0.05%台です。
うーん、これはギャンブルに近いような商品ですね。
下振れの見積もりもしていました
もちろん、下がる場合も考えました。
最悪、下落を喰らっても、失うのは「節税できたはずの分」だけです。非課税枠なので、損失が出ても課税口座のような損益通算の話にはなりません。
そしてもうひとつ。自分はリーマンショックのころから投資しています。
仮に相場が50%下がっても、全体の損益はプラスのままでした。
耐えられる範囲だ、と判断していました。
そして、計画書に書きました
当時の投資計画書を見返したら、コロナの1年前にこう書いてありました。
暴落時はSPXLの買い時、勇気を出してリスク最大の300万買えるかどうかが成功の分かれ道
2019年の3ヶ年計画書より
いやいや、今から考えると「成功の分かれ道」は大げさすぎます。あかんやろと。ぶれてないかと。
でも、資金の出どころまで決めてたみたいです。
日本債券 暴落時に売却し追加投資資金とする
つまり 「暴落が来たら日本債券を売ってSPXLを買う」と、1年前に設計してあったということです。
衝動ではありませんでした。待っていました。
2. 3月9日、まず「様子見」で買いました
損益率を見ていたら、一気に下がってきました。
初回の買付は2020年3月9日です。15株、$48.01、75,597円 でした。
少ないと思われるかもしれません。意図的です。
1回目は、ものさしを作るための買いでした
どこまで下がるかは分かりません。だからまず少しだけ買う。
こうすると、その買値が自分の中の基準価格になります。
あとはそこから何パーセント下がったか、何パーセント上がったかを見ながら、追加を考えればいい。
1回目は、値段を測るものさしを手に入れるための買いでした。
翌日、ノートにこう書いています。
株価下落。この前買ったSPXLがマイナス18パーセント
買った翌日です。
そしてその日、買い増しました。10株、$42.04。
怖くはありませんでした
意外に思われるかもしれませんが、暴落そのものへの恐怖は、ほとんどありませんでした。
ノートの3月10日に、こう書いています。
そうとうへこんでるけど、資産自体、2019年の3〜6月ぐらいの資産額やから、まだまだたいしたことはない
半年前の水準に戻っただけ、という感覚です。リーマンショックのころから投資しているので、含み益が十分にたまっていました。
そして、その次の行がこれです。
アセットクラスを変える大チャンスの時かもしれん
買い場、とは書いていません。組み替えの機会だと書いています。実際このあと、日本債券を全額売って株式に移しました。
怖かったのではなく、アセットを入れ替える好機に見えていました。
株価は必ず戻ってくるとも思っていました。リーマンで一度それを見ているからです。結果論ではありますが、そう信じられる材料がありました。
読めないのは「いつ」と「どこまで」でした
とはいえ、簡単ではありません。
分からないのは2つだけです。
- いつ底を打つのか
- どこまで下がるのか
資金はある。でも下がり続けている最中で、しかもNISAの枠には上限がある。一度に使えば、それ以上下がったときに手が出せません。
ノートを見ると、円相場も日々かなり動いています。106円から111円まで、2週間で5円動いた場面もありました。
株価も為替も、どちらも読めない。だから少しずつ買うしかありませんでした。
ちなみに、この2点が分かれば苦労はしません。そりゃそうやろと。
3. ノートに何を書いていたか
ノートは2020年3月10日から始まっています。1行目の見出しは、これでした。
株価下落
コロナで世界経済の先行き不透明。世界的な株価が下落。日経は久しぶりに2万を割った
そこから毎日、手書きで4つの数字を並べていきました。
- VYM
- SPXL
- 円相場
- 1577(野村日本株高配当70)
1577は日本の高配当ETFです。米国の高配当・米国のレバレッジ・為替・日本の高配当、この4つを一枚で見ていたことになります。
価格ではなく、損益率を書いていました
ノートに並んでいるのは株価ではありません。
自分の損益率です。

写真は3月16日から4月19日のページ。左上の「2020-3-10」はノートを書き始めた日
3/16 12:10 VYM ▲20.3 SPXL ▲23.6 円 107.1 1577 ▲23.3
全部マイナスです。自分の資産がいまどれだけ沈んでいるかを、毎日書き取っていたわけです。
理由は2章のとおりです。最初に少しだけ買って基準価格を作り、そこから何パーセント動いたかで次を決めていた。だから価格ではなく、損益率のほうが要ります。
見ていたのは、損益率の上下でした。
いちばん沈んだのは、3月13日でした
| 日付 | VYM | SPXL |
|---|---|---|
| 3/10 | ▲21.3 | ▲18.68 |
| 3/11 | ▲19.8 | ▲12.7 |
| 3/12 | ▲21.5 | ▲18.3 |
| 3/13 | ▲27.3 | ▲37.9 |
| 3/14 | ▲19.7 | ▲23.1 |
| 3/16 | ▲20.3 | ▲23.6 |
SPXLは一時、▲37.9%まで沈んでいます。3倍の商品なので、当然といえば当然です。
そしてこの日のページに、長いメモが残っていました。
株価下落は続く。どれだけ下がるか分からんので、人の逆を行く
3年でうまくいけば700万ではいける
もし収入がなくなるような事になっても、3年で切り抜けれる状態
貯金は MAX 250万では残しておく
日本債券は売却の方向でいく。最短で月曜に実施したいけど
他の人が慎重なときは、貪欲に仕掛けるや
最後の一行は、1年前の計画書に書いた投資方針そのままです。
他の人が慎重な時は貪欲に仕掛けろ、そして他の人が貪欲なときは慎重にいけ(人の行く裏に道あり、花の山)
2019年の3ヶ年計画書より
暴落のさなかに、1年前の自分の言葉を書き写していました。
そして、いま読み返していちばん大事だと思うのは、この2行です。
もし収入がなくなるような事になっても、3年で切り抜けれる状態 貯金は MAX 250万では残しておく
どこまで突っ込めるかを、相場ではなく自分の生活から決めています。
底で買えるかどうかは、生活のほうで決まっていました。
ノートで考えて、計画書に写していました
メモの途中に、こういう一行があります。
ここまで計画書に記入
ノートで考えて、決まったことを計画書に転記していたということです。
実際、ノートの3月10日にはこう書いてあります。
3月〜12月まで月10万をプラスして追加する。2020で200万以上、300万まで追加していく
そしてこの年の計画書には、こう書き足されています。
貯金があるうえ、毎月のキャッシュフローにも余裕があるので、年間の投資額を200万以上に増やす
暴落の最中に決めたことが、そのまま年間の方針になっていました。
VYMだけは、ものさしが違いました
3月28日には、こう書いています。
VYMの過去の分配率(利回り)は3.05%の前後で、3%を超える年はない。3%前後が買いの価格である
利回り3%が、ひとつの基準でした。
そしてページの下部に、根拠となる数字がありました。
2019年 VYMの配当実績は 2.69ドル
ここから逆算できます。
| 利回り | 必要な株価 |
|---|---|
| 3% | $89.67 |
| 4% | $67.25 |
ノートの上部にある「利回り4%になる株価は67.25ドル」は、この計算です。
3%が基準。4%まで来たら、近年まれに見る買い場です。
実際に買えたのは3.9%でした。基準は超えたが、まれに見るチャンスには少し届かなかったあたりです。
ちなみにいまのVYMの利回りは2%台です。3.9%という数字が、どれくらい珍しい水準だったかが分かると思います。
そして4月2日、こう書いて実行しています。
VYM 68.7で3.9%利回り 31株購入
証券会社の記録を見ると、2020年4月3日にVYMを31株、$68.70で買っています。
同じように4月17日のぶんも残っています。
| ノートの記述 | 取引履歴 |
|---|---|
| VYM 68.7で3.9%利回り 31株購入 | 2020/4/3 31株 $68.70 |
| VYMを74.80で28株購入 | 2020/4/17 28株 $74.80 |
同じノートの中で、2つの銘柄のものさしを変えていたことになります。
| 何を見て買うか | |
|---|---|
| SPXL | 基準価格からの損益率 |
| VYM | 分配金の利回り |
値段で買っていたのではなく、利回りで買っていました。
円相場も、いまとは別世界です
ノートの「円」の欄には、106円から111円台が並んでいます。
いま見ると、めちゃくちゃ円高です。この数字が、あとで効いてきます。
4. 3月18日、1日で85万円入れました
計画どおり、日本債券を全額売りました。1,463,600円、利益は約10万円です。ノートにも「+7.41% 10万ぐらいプラス」と書いてあります。
そしてこの日が底でした。前夜のノートには、こうあります。
80株 100株 $68.02 $23.32 → ここで買いを入れる
翌日の約定がこれです。
| 2020年3月18日 | |
|---|---|
| SPXL 100株 @$23.32 | 252,420円 |
| VYM 80株 @$67.99 | 588,225円 |
| 合計 | 851,247円 |
1日で85万円です。2019年に書いた「勇気を出して」が、実際に出た日ということになります。
ナイストレード!
もうね、いつの間にかトレーダーになってますよ。ナイストレード言うてるのが、そもそもおかしいことです。
主役はSPXLではなく、VYMでした
暴落の3ヶ月で買った額を並べると、こうなります。
| 金額 | |
|---|---|
| VYM | 141.6万円 |
| SPXL | 54.0万円 |
VYMのほうが2.6倍多い。
ずっと「SPXLを買った話」だと思っていましたが、金額で見れば主戦力はVYMでした。邪道の裏で、王道のほうをきちんと買えていたことになります。
5. 4月19日、相場が戻りきりました
ノートの数字が、日を追って戻っていきます。
| 日付 | VYM | SPXL | 円 |
|---|---|---|---|
| 3/16 | ▲20.3 | ▲23.6 | 107.1 |
| 3/22 | ▲21.2 | ▲28.6 | 110.9 |
| 4/2 | ▲18.7 | ▲18.4 | 107.4 |
| 4/9 | ▲6.2 | +11.9 | 108.7 |
| 4/15 | ▲3.8 | +21.3 | 107.3 |
| 4/19 | ▲3.7 | +25.6 | 107.5 |
数字はすべて自分の損益率(%)
指数が戻ったという意味ではありません。自分の損益が戻った、という意味です。
そしてノートは、この一文で終わっています。
相場が戻りきった。次の暴落を待つ。エエ買い物ができた。
自分の中では、ここで暴落が終わりました。
書き始めたのが3月10日、終わったのが4月19日。41日間です。
6. 4年半持って、471万円でした
証券会社の取引履歴を全部出します。買ったのは12回、4年にわたっています。
| 約定日 | 株数 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 2020/3/9 | 15 | $48.01 | 75,597円 |
| 2020/3/10 | 10 | $42.04 | 43,823円 |
| 2020/3/17 | 1 | $26.78 | 2,878円 |
| 2020/3/18 | 100 | $23.32 | 252,420円 |
| 2020/5/15 | 45 | $31.85 | 155,065円 |
| 2020/6/16 | 11 | $39.16 | 46,568円 |
| 2020/7/15 | 10 | $44.77 | 48,387円 |
| 2020/9/25 | 1 | $47.50 | 5,048円 |
| 2022/2/2 | 61 | $120.39 | 846,622円 |
| 2022/3/3 | 28 | $105.37 | 343,548円 |
| 2023/1/16 | 136 | $67.93 | 1,186,173円 |
| 2023/2/13 | 1 | $72.70 | 9,642円 |
コロナだけの話ではありませんでした。
いちばん大きい買いは、2023年1月の136株・119万円です。コロナのときではありません。
買い増しても、含み損にはなっていません
2022年2月に $120.39 で61株買っています。ぱっと見は高値づかみですが、そうではありません。
平均取得単価を並べると分かります。
| 累計 | 平均取得単価 | |
|---|---|---|
| 2020年の買付が終わった時点 | 193株 | $30.35 |
| 2022年の買付が終わった時点 | 282株 | $57.28 |
| 2023年の買付が終わった時点 | 419株 | $60.77 |
2020年の平均が$30.35です。$120.39は、その4倍にあたります。
高値づかみに見えますが、買い増した時点で、すでに大きくプラスでした。買い足したところで、平均単価が少し上がるだけです。含み損になる心配はありません。
そのうえで、買った理由はこれです。
NISAの枠に入れておけば、そこから増えた分に税金がかからない。
課税口座で持つより、将来トータルで払う税金は少なくなるはずだと考えました。
もちろん 「あわよくば、ここからさらに上がってくれれば」とも思っています。ただ、主な理由は税金のほうでした。
上がりそうだから買ったのではなく、非課税の箱に入れておきたかった。
そして、毎年のNISA枠を埋めていただけでした
もっとはっきりした理由があります。当時のNISAは年120万円です。その枠を、毎年使い切っていました。
| 年 | 使った額 | 枠の残り |
|---|---|---|
| 2020 | 843,908円 | 356,092円 |
| 2021 | 1,193,000円 | 7,000円 |
| 2022 | 1,198,567円 | 1,433円 |
| 2023 | 1,192,953円 | 7,047円 |
NISA枠を消費するのは約定代金なので、手数料と税金は除いて計算しています
2021年から3年連続で、ほぼ使い切っています。2022年にいたっては、残り1,433円です。
2022年と2023年の買いは、買い増しですらありません。「その年の枠を埋めた」だけです。しかもNISAなので、増えても税金がかかりません。
1章に書いたとおり、枠が小さいなら値動きの大きいものを入れるという考えで始めました。それを4年間、同じようにやり続けていたことになります。
思いつきではなく、4年続いた運用でした。
とはいえ、楽ではありません。旧NISAの枠は本当に扱いにくくて、毎年ずいぶん難儀しながら運用していました。
売ったのは2024年です
| 約定日 | 株数 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 2024/1/4 | 193 | $100.65 | 2,774,873円 |
| 2024/8/20 | 226 | $150.58 | 4,953,624円 |
売った理由は、計画書にそのまま書いてありました。
100%の損益率なので損はなくなった
理屈ではありません。「十分プラスになった」と思ったからです。
そして売ったあとも、SPXLは上がりました。
| 買付 | 423株・302.6万円 |
| 売却 | 423株・774.2万円 |
| 損益 | +471.6万円 |
7. 売るほうが、ずっと難しかった
ここまで、買うときの話ばかり書いてきました。難しかったのは、売るほうです。
「買うは易く、売るは難し」という言い方があります。まさにそれでした。
月に1回の集計が、損失に敏感にさせます
うちは月に1回、資産を集計しています。20年ずっとです。
これがくせ者でした。
集計すると、先月からいくら増えたか減ったかが出ます。増えていれば気分がいい。問題は、減ったときです。
先月の利益が消えてるな。ほな、先月売っといたほうがよかったんか。
これを何度も思いました。
人は、利益より損失のほうを大きく感じます。行動経済学でよく言われるやつです。その通りの反応をしていました。
相場が気になって眠れない、という話ではありません。
そういう激しいものではなく、幻の含み益を、ずっと追いかけているような感じです。あのとき売っていれば、という金額が頭に残る。
もうええんちゃうの、よくやった、耐えたよ、儲かってますやん、今が手放すときちゃうん。
と、なんか聞こえてきます。
NISAだと、なおさら決められません
さらにややこしいのがNISAです。
非課税なので、理屈のうえでは高く売れば売るほど得になります。だから「もっと待てば、もっと得なのでは」と考えてしまう。
かといって、期限もあります。旧NISAは5年で終わります。
上を待つ理由と、待てない理由が同時にある。ここがずっと決まりませんでした。
妥協点が「損益率100%」でした
そこで出した答えが、これです。
100%の損益率なので損はなくなった
倍になったから、もう損はしない。そこで一部を売る。理屈というより、自分を納得させるための線でした。
悪い判断ではなかったと思います。ただ、旧NISAはまだ数年持てました。そこを手放しています。
売った分はオルカンを買っているので、市場平均を下回ることはありません。そこは救いです。
買うより、売るほうがずっと難しい。それを身をもって知りました。
利益が出たときに売りたくなる話は、利益が出たら売りたくなるにも書いています。
もうええでしょう、早く利確するんや、早く利確を。
と、なんか聞こえてくるんですよ。
8. それでも、分の悪い取引でした
471万円です。悪くない、と思われるかもしれません。
分解すると、そうでもありません。
3割は円安でした
| 円ベースのリターン | +155.8パーセント |
| ドルベースのリターン | +108.7パーセント |
平均の買付レートは118円、平均の売却レートは145円でした。
為替が118円のままだったら、利益は329万円です。
471万円のうち、約142万円は円安によるものでした。
3倍レバレッジの成果ではありません。円が安くなっただけです。
コストも払っています
売買の手数料と税金は、全期間で $134.09(約1.7万円) でした。1回あたりは小さくても、16回やれば積み上がります。
それに加えて、SPXLは信託報酬が年1%近くかかります。オルカンは0.05%台です。20倍近い差を、持っているあいだずっと払い続けていたことになります。
そして、いまなら1ヶ月で動く額です
4年半かけて、1年前から計画を立てて、41日間ノートをつけて、底で勇気を出して、4年ぶんのNISA枠を使って。
それで471万円です。
いまの資産額から見ると、右往左往してるのが恥ずかしいっす。
9. そもそも、レバレッジ商品は必要ありませんでした
ここが本題です。
同じことを、レバレッジ商品を使わずにできました。
その日の値動きだけなら、同じです
単純に、その日の値動きだけを考えれば。3倍レバレッジを100万円買うと、値動きは300万円ぶんになります。
では、普通のインデックスを300万円買ったらどうか。こちらも300万円ぶんです。
| SPXL 100万円 | インデックス 300万円 | |
|---|---|---|
| 値動き | 約300万円ぶん | 300万円ぶん |
| 減価 | あり | なし |
| 借入コスト | あり(商品の中で払う) | なし |
| 信託報酬 | 年1%近く | 年0.05%台 |
| 必要な現金 | 100万円 | 300万円 |
ただし、完全に同じものではありません。期間が長くなるほど、減価やコストのぶんだけ結果はずれていきます。
それでも、同じ300万円の値動きにさらされるだけなら、普通のインデックスを300万円持つほうがシンプルです。
この「いくらぶんの値動きを持っているか」を、エクスポージャーといいます。リスク許容度との違いや、現金の比率でどこまで調整できるのかは、エクスポージャーとリスク許容度は、別のものですにまとめました。
そして、現金はありました
2020年1月時点の内訳です。
| 貯金 | 850万円 |
| 日本債券 | 300万円 |
| 待機資産 | 485万円 |
待機資産だけで485万円あります。300万円ぶんの値動きを、減価も借入コストも信託報酬もなしで作れる現金が、手元にありました。
つまり、こういうことです。
SPXLを買ったことが問題だったのではありません。現金が1,000万円以上あるのに、わざわざ減価する商品を買ったことが問題でした。
「レバレッジは悪い」という話ではありません
ひとつ、はっきりさせておきます。
この記事で言いたいのは「レバレッジ商品は減価するから悪い」ではありません。
減価や高いコストを払ってまでレバレッジを使う必要が、自分にはなかった、という話です。
現金が足りない人にとっては、話が変わります。手元の資金では作れない値動きを、レバレッジなら作れる。その代わりに減価とコストを払う、という取引です。
自分の場合は、その取引をする必要がありませんでした。現金があったからです。
SPXLは、投資資産の11%までに抑えていました
投資している資産の中で、SPXLが占めた割合は、いちばん多いときで11%ほどでした。2023年12月の記録で、評価額572万円。投資資産の合計は5,222万円です。
残りの4,649万円は、オルカン・VYM・SMT海外株式です。全部インデックスか高配当ETFでした。
核のインデックスは、一度も売っていません
そしてもうひとつ、いま振り返って大きかったと思うことがあります。
土台のインデックスは、この期間に一度も売っていません。
やったのは、いつもどおり毎月積み立てただけです。暴落の最中も、戻ってからも変わりません。動かしたのは、全体の1割にも満たない部分だけでした。
相場を見て色気が出たのは本当です。ノートを毎日つけていたのも、タイミングを計っていたのも事実です。
ただ、軸のほうは一度も動かしませんでした。
色気は出た。でも、軸は動かさなかった。
10. 本当に学んだのは、別のことでした
現金を持ちすぎているんじゃないか。
そう思ったのは、暴落が収まったあと——ではありませんでした。最中です。
3章で書いたとおり、ノートの3月10日にすでにこうあります。
3月〜12月まで月10万をプラスして追加する。2020で200万以上、300万まで追加していく
そして暴落が収まったあと、その年の計画書に書き足しています。
貯金があるうえ、毎月のキャッシュフローにも余裕があるので、年間の投資額を200万以上に増やす
ここまでの言葉を使うと、こうなります。
リスク許容度を引き上げて、そのぶんエクスポージャーを増やした。
結果は、入金額に出ました。
| 年 | 年間の入金額 |
|---|---|
| 2019 | 102万円 |
| 2020 | 280万円 |
| 2021 | 460万円 |
2年で4.5倍です。
レバレッジ商品ではなく、入金額で解決していました。
減価は、当時から知っていました
念のため書いておきます。
「レバレッジ型は、下がってから戻るときに目減りする」ことは、当時から知っていました。欠点を知らずに買ったわけではありません。
知らなかったのは、エクスポージャーのほうです。
「3倍の商品を100万円買う」と「普通のインデックスを300万円買う」が同じ意味になる、という見方を持っていませんでした。だから、減価というコストをわざわざ払う理由がないことにも気づけなかった。
欠点は知っていたのに、代わりの手段を知りませんでした。
エクスポージャーという考え方は、ここから来ました
この考え方に行き着いたのは、レバレッジをやったからです。
3倍の商品を持つと、「自分はいくらぶんの値動きを持っているのか」を考えざるを得なくなります。100万円が300万円ぶん動く。では自分の資産全体では、いくらぶん動いているのか。
その問いが、エクスポージャーという考え方に連れていってくれました。
そして考えた結果が「現金があるなら、現金を入れればいい」でした。
レバレッジをやらなければ、この考え方には行き着いていません。
11. まとめ
- コロナの1年前から、計画書に「暴落時はSPXLの買い時」と書いていました
- 3月18日の1日で85万円。底で買えました
- 暴落期の主役はVYMの141.6万円で、SPXLは54万円でした
- 4年半で +471.6万円。ただし約142万円は円安によるものです
- 現金が1,000万円以上あったので、そもそもレバレッジ商品は要りませんでした
- 本当に効いたのは、リスク許容度を上げて入金額を4.5倍にしたことでした
同じ場面が来ても、やることは決まっています。普通のインデックスを、現金を使って多めに買う。それだけです。
計画を立てて、41日間ノートをつけて、勇気を出して底で買って。あれだけやって、答えは「現金を使え」でした。
ただ、無駄だったとは思っていません。
3倍の商品を持ったから、「自分はいくらぶんの値動きを持っているのか」を考えるようになりました。その問いに行き着かなければ、入金額を4.5倍にすることもなかったはずです。
そして、あのとき毎日数字を書いていたから、いま6年後にこうして計算できています。
回り道でしたが、記録は残りました。
そして後にも先にも、ノートを持ち出して夜中にコソコソ記録をつけていたのは、この時期だけです。
いまはもちろん、日々の値動きなんて記録していません。
もし、もう一度こういう荒れた相場が来たとしたら。
ノートにかぶりつくわけないじゃないですか。きっと。たぶん。
いや、30%ぐらい一気に下がったら、わからんなー。
と感じております。
投資は自己責任でお願いします。この記事は特定の金融商品を推奨するものではありません。レバレッジ型ETFは値動きが大きく、長期保有には減価のリスクがあります。