暴落が来ても売らない。含み益500万円が消えた記録と、それでも動かなかった理由
暴落・投資マインド2026年3月から4月にかけて、含み益が約500万円消えました。
正確には491万円。40代サラリーマンの年収手取りを超える額が、ほぼ1ヶ月で吹き飛んだ計算になります。関税ショックの話です。
売ったか。売っていません。
この記事の目次
数字を記録しておく
証券口座に、記録が残っています。
| 時点 | 資産総額 | 損益率 |
|---|---|---|
| 2026年3月1日 | 9,414万円 | +235.6% |
| 2026年4月1日 | 8,923万円 | +216.4% |
差額は491万円。1ヶ月で、損益率が19ポイント以上落ちました。
「あの時売っていたら、この含み益はプラスになっていたな。車1台買えたがな」とは思いました。正直に言うと、それくらいの感覚はあります。
でも、売らなかった。というより、売る気にもならなかったんです。
印象に残っている暴落体験
投資を始めて20年になります。その間に、暴落は何度も来ました。中でも特に印象に残っている3つを振り返ります。
リーマンショックは、投資を始めてまもない頃でした。評価額はどマイナスでしたが、正直、あまり気にしていません。
理由はふたつあります。ひとつは、生活口座と投資口座を完全に分けていたから。証券口座の数字がどれだけ減っても、給料は入ってくるし、日々の生活には何の影響もない。「投資の口座がマイナスになっているだけ」という感覚でした。
もうひとつは、少し変な話ですが——始めた直後に、いきなり暴落を食らったからです。
考えてみてください。もし「増える経験」を先にしていたら、どうだったか。含み益が積み上がっていく喜びを知ったあとで暴落が来たら、「あぁー、お金が減っとるー」となっていたはずです。でも自分には、その経験がなかった。プラスを知らないまま、いきなりマイナスから始まったわけです。
だから「投資って、こういうもんなんか」で終わった。失うものが、そもそも無かったんです。経験のなさが、結果的に自分を守ってくれた。今思えば、あれは幸運だったのかもしれません。(この時期の記録はインデックス投資を20年続けた結果【前編】に全部残しています)
コロナショックは、違いました。あのときは「チャンスだ」と思っていました。記録ノートを見返すと、2020年4月2日のVYM株価は68.7ドル。普段3パーセント前後の利回りが、3.9パーセントまで上がっていた。明らかに割安です。だから買い増しました。むしろ「余剰資金がもっとあれば」と悔しかったくらいです。
関税ショックは、一番リアルでした。資産額が大きくなっていた分、数字の動きが桁違いです。画面を見るたびに金額が変わる。それでも動じなかったのは、3回目だからではなく、別の理由があります。
売らない理由は、シンプルに一つ
難しい理論じゃありません。
今後も上がると思っているから。それだけです。
世界経済は、長期で成長してきました。暴落は何度もありましたが、そのたびに回復してきた。歴史がそう言っています。自分が生きている間に、それが崩れるとは思っていません。
同時に、「市場は読めない」とも思っています。暴落のタイミングも、底値も、回復のタイミングも、正確には誰にもわからない。だから、売ってタイミングを取ろうとすること自体が、そもそも間違いだと思っています。
暴落時に売って、ではどのタイミングで買い直すのか。それを正確にできる人間は、存在しません。だったら、動かないほうがいい。
ちなみに、売りたくなるのは暴落のときだけではありません。利益が出ているときほど、売りたくなるんですよね。この話はインデックス投資で売りたくなる失敗に書きました。
「暴落は気にしない」と自分で書いた
毎年年末に、翌年の資産設計書をExcelで作っています。名前をつけるなら「300 Million Project」。今年の投資方針、積立金額、目標アセットアロケーション。そういうことを1枚にまとめたものです。
正直、このプロジェクト名はかなり気に入っています。センスがすごい。かっこいい。
画像を見てもらえばわかると思いますが、右のほうにさりげなく書いてあるのもいいですね。
その中に、こう書いてあります。

暴落は気にしない、気になるならリスクの取りすぎ、大きなお金が必要になったら迷わず取り崩せ
これが、自分の行動指針です。
暴落で資産が揺れたとき、難しいことを考えるより、この一文を見返す。特に「気になるならリスクの取りすぎ」という部分が刺さります。揺れる気持ちは、今の投資配分が自分のリスク許容度を超えているサインかもしれない、ということです。
関税ショックのとき、491万円が消えてもほとんど動揺しませんでした。この設計書のおかげだと思っています。
大事なのは、冷静なときに決めておくことです。暴落の渦中で正しい判断をしようとしても、まず無理です。自分が落ち着いているときに書いたルールに、あとから従うだけ。この方針書の中身はたった一枚の「投資方針書2026年」にまとめています。
暴落への感覚は変わってきた
リーマン、コロナ、関税と経験を重ねて、暴落に対する感覚は、確かに変わってきました。
ただ、変わり方が少し想定と違うんです。
「慣れたから怖くない」というより、「資産額が大きくなりすぎて、買い増しのインパクトが小さくなってきた」という感覚のほうが近い。
500万円消えても、今後の積立や買い増しで取り返せる額ではありません。逆に言えば、暴落時に追加で数十万円買い増したところで、全体への影響も小さい。スケールが変わると、暴落の見え方も変わります。
というより、ここまで来ると、暴落時にできることは、もう何もないというのが正直なところです。買い向かっても大勢に影響はないし、売るという選択肢は最初からない。ただ、眺めるだけ。
じゃあ、できることは何か。
ひとつだけあります。自分のリスク許容度が、今の自分に合っているかを確認することです。
暴落の最中に心がざわつくなら、それはリスクを取りすぎているサインです。方針書に書いた「気になるならリスクの取りすぎ」は、まさにこれのこと。
そして大事なのは、その場で慌てて売らないこと。ざわついたからといって、暴落の渦中に配分を変えるのは最悪の手です。そうではなく、今後の何年かをかけて、ゆっくり調整していく。積立の配分を変える、現金の比率を上げる。時間をかけてやれば、相場に振り回されずに調整できます。
暴落は、成績を取り返す場面ではありません。自分の許容度を測る、ものさしなんだと思います。
これは経験で得た感覚なので、最初からそうなれ、とは言えません。でも「続けると変わる」という実感はあります。
初心者が暴落に備えるために
自分の経験から言えることを、整理します。
① 生活防衛資金は、必須
まずこれです。あった方がいい、ではありません。無いと始まらない。
生活費の半年〜1年分を、投資とは別に現金で持っておく。これが無いと、暴落のときに「生活のために売らざるを得ない」状況になります。いちばんの安値で売らされる、最悪のパターンです。詳しくは生活防衛資金の話に書きました。
② 生活口座と投資口座を分けておく
地味ですが、これがよく効きます。前に書いたとおり、自分がリーマンショックで動じなかった理由のひとつがこれでした。生活が脅かされない場所にお金があれば、数字がどれだけ減っても「投資口座の中で起きている出来事」で済みます。
③ 自分のリスク許容度を確認する
暴落が怖くなるのは、許容できる以上のリスクを取っているからかもしれません。インデックス投資をやめるのではなく、配分を見直すタイミングだと考えるといいです。
ただし、暴落の最中に慌てて動かないこと。ざわついたその場で配分を変えるのは、いちばんまずい手です。相場が落ち着いてから、何年かかけてゆっくり調整すれば十分です。
④ 投資方針を書いておく
年初に「今年どうするか」を言語化しておくだけでいいです。暴落のときに感情で判断するのではなく、自分が落ち着いているときに決めたルールに従うため。紙1枚で十分です。
⑤ 暴落は来るものだと知っておく
「何十年に一度の暴落」と言いますが、実際は数年に一度の頻度で相場は大きく揺れます。自分の20年でも、リーマン、震災、チャイナ、米中、コロナ、関税と、何度も来ました。驚かないために、事前に覚悟だけしておく。具体的に何をすればいいかは暴落が来たときにやることにまとめています。
まとめ
- 関税ショックで含み益が約500万円消えた。それでも売らなかった
- 売らない理由はシンプル。「今後は上がると思っているから」
- 市場のタイミングは誰にも読めない。動かないほうが正しいことが多い
- 年初に投資方針書を作り、「暴落は気にしない」と自分で書いておく
- 生活防衛資金と口座の分離。この土台が無いと、暴落で売らされる
- 暴落は、取り返す場面ではなく、自分のリスク許容度を測るものさし
暴落に強いメンタルを持っているわけじゃありません。動じない仕組みを作っているだけです。
そして、その仕組みは暴落が来てからでは作れません。作れるのは、何も起きていない平時だけです。この話はインデックス投資を20年続けた結果【後編】にも書きました。
暴落に強いメンタルは必要ないよ。
必要なのは、平時に仕組みを作ること。
投資は自己責任でお願いします。この記事は特定の金融商品を推奨するものではありません。