資産5000万円でFIREできますか?3年前の自分で答え合わせをしました

FIRE・出口戦略

「資産5000万円でFIREできますか」

検索するとよく出てくる質問です。答えている記事もたくさんあります。ただ、そのほとんどが「できる/できない」の試算で終わっています。

自分はこれを、試算ではなく記録で書けます。

3年前、資産が5,000万円を超えた月がありました。そのとき仕事を辞めていたら、いまどうなっていたか。入金も相場も全部残っているので、実際の数字で計算できます。

やってみたら、当時のシミュレーションでは成功率50.9%でした。ほぼコイントスです。

実際は、どうだったか。

つみたていぬ

3年前の自分に、答え合わせしにいくんやな。


▶ 計算に使ったのは自作の道具です → FIREシミュレーターを開く

この記事の目次

  1. まず、いまの数字を入れてみました
  2. 前提を先に書いておきます
  3. 5,000万円を超えたのは、2023年8月でした
  4. その時点の数字を入れ直したら、50.9%でした
  5. 答え合わせ。実際の37ヶ月はこうでした
  6. 当たったんじゃない。良い1本を引いただけです
  7. 現金1,000万円は、3年で尽きます
  8. 使い方と、まとめ

1. まず、いまの数字を入れてみました

資産はある。生活費も、だいたい分かっている。でも「じゃあ、何歳まで持つのか」が分からない。

ここがずっと疑問だったので、計算できる道具を作りました。自分の数字を入れると、資産が何歳まで持つかがグラフで出ます。全部ブラウザの中で計算しているので、入力した数字はどこにも送信されません。

せっかくなので、いまの自分の数字を入れました。

項目入れた値
年齢48歳
資産1億1,547万円
年間生活費300万円
年金(65歳〜)150万円
年間貯蓄0円(辞める前提)
寿命90歳

結果です。

成功率(90歳まで持つ)92.7%
90歳時点の資産(中央値)2.18億円
成功率95%になる最短FIRE年齢50歳

まあ、そうでしょうね、という数字でした。面白くありません。

面白いのはここからです。同じ道具に、3年前の数字を入れたらどうなるか。


2. 前提を先に書いておきます

数字を出す前に、断っておくことが2つあります。

年齢と現金は、丸めています。 3年前を45歳、いまを48歳としました。現金は1,000万円です。実際の値とは少しずれますが、話を追いやすくするためです。

投資の数字は、実数です。 2008年7月から2026年9月までの219ヶ月ぶん、毎月の元本と評価額が全部手元にあります。丸めていません。

この記事で効いてくるのは後者です。相場がどう動いたかを仮定しなくていいので、「もしFIREしていたら」を、想像ではなく計算で出せます。


3. 5,000万円を超えたのは、2023年8月でした

投資を始めて16年目でした。

月元本投資資産
2023年6月2,215万円4,552万円
2023年7月2,220万円4,920万円
2023年8月2,225万円5,063万円
2023年9月2,230万円5,149万円
2023年10月2,235万円4,997万円

元本2,225万円に対して、資産5,063万円。ここに現金1,000万円を足して、合計6,063万円でFIREした、という想定にします。

元本2,225万円に対して資産5,063万円なので、損益率は+127.6%です。16年かけて、入れたお金が2.3倍になった状態でした。

ここまで16年です。この間、月5万円も入れられない月が半分ありました(新NISAの1,800万円は何年で埋まる?)。暴落で買い増しできたわけでもなく、単に給料から出せる額が少なかっただけです。

つまりこの5,063万円は、入金力で作った資産ではありません。16年ぶんの時間が作った資産です。だから「5,000万円貯めてFIRE」という言い方が、自分にはあまりしっくりきません。貯めたのではなく、置いていたら増えていました。


4. その時点の数字を入れ直したら、50.9%でした

同じ道具に、2023年8月の数字を入れます。

項目入れた値
年齢45歳
資産6,063万円(株84%・現金16%)
年間生活費300万円
年金(65歳〜)150万円
年間貯蓄0円
寿命90歳

結果です。

成功率(90歳まで持つ)50.9%
90歳時点の資産(中央値)355万円
成功率95%になる最短FIRE年齢63歳

コイントスでした。

しかも中央値で90歳時点に355万円しか残りません。半分の未来では、途中で尽きています。

そして「安全にFIREしたいなら63歳まで働け」と出ました。45歳で辞めたかった人間に、あと18年働けという答えです。

当時これを見ていたら、まず辞めていません。


5. 答え合わせ。実際の37ヶ月はこうでした

ここからが本題です。

2023年8月から2026年9月まで、37ヶ月が経ちました。この間の相場は、記録に残っています。毎月の評価額から入金分を引けば、純粋に相場がどう動いたかが出ます。

その実測値を、6,063万円に当てます。積立はしません。生活費として毎月25万円(年300万円)を取り崩します。取り崩す順番は、現金が先です。

合計株現金
2023年8月6,063万円5,063万円1,000万円
2024年12月7,564万円6,964万円600万円
2025年12月8,549万円8,249万円300万円
2026年9月9,709万円9,634万円75万円

925万円を使いながら、資産は3,646万円増えていました。

株と現金から按分で取り崩す形にしても、9,388万円です。結論は変わりません。

いちばん減ったのは、始めて3ヶ月目の2023年11月でした。そのときで5,717万円です。開始時から346万円のマイナス。それが底でした。

月ごとに見ると、下げた月もあります。2025年5月と2026年4月はどちらも1ヶ月で5.4%落ちています。6,000万円なら320万円ぶんです。ただ、そのあと戻りました。

成功率50.9%と言われた選択は、実際には楽勝でした。

ちなみに、辞めずに積立を続けた実際の数字は1億547万円です。差は2,211万円。3年働いて、2,211万円です。 そう書くと、辞めたほうが良かったようにも見えます。


6. 当たったんじゃない。良い1本を引いただけです

ここで終わらせると、ただの自慢になります。

この37ヶ月の相場は、実測で90.3%のプラスでした。円安とAI相場が重なった期間です。年率にすると23%を超えます。

※ 株の部分だけの累積リターンです。毎月の評価額の増減から入金分を差し引いて月次の騰落率を出し、37ヶ月ぶんを掛け合わせました。現金1,000万円は含みません(利息0%として計算しています)。5,063万円×1.903=9,634万円で、5章の表の株の欄と一致します

5章の合計は6,063万円から9,709万円なので、増加率でいえば+60.1%です。こちらは取り崩した925万円と、増えない現金1,000万円が混ざった数字なので、相場そのものの動きとは別物になります。

いずれにしても、普通じゃありません。

シミュレーターの「ブレも考える」というチェックボックスは、ここのためにあります。オンにすると、相場のブレを1000通り試して計算します。オフのままだと「毎年きっちり5%増える」というキレイな右肩上がりで計算するので、たいてい「余裕で持つやん」という結果になります。

50.9%というのは、1000通りのうち約500通りで資産が尽きたという意味です。自分が通ったのは、残り約500通りの、しかもかなり上のほうでした。

なぜ半分も尽きるのか。順番が悪いと詰むからです。

辞めた直後に暴落が来ると、安値で資産を取り崩すことになります。売った分は、そのあと相場が戻っても戻ってきません。同じ平均リターンでも、最初に下げるか最後に下げるかで結果が変わる。これがシーケンスリスクです。

平均だけ見て「いける」と思っていたのが、このボタンひとつで「あれ、いけるか…?」に変わります。楽観だけでFIREに突っ込まないためのスイッチです。

もうひとつ、忘れてはいけないことがあります。この3年は、そもそも辞めていません。

辞めていたら、同じ行動を取れたかどうかは分かりません。2023年11月に346万円減ったところで、収入がゼロだったら。2025年5月に1ヶ月で5.4%落ちたときに、翌月の生活費を取り崩す立場だったら。画面の数字は同じでも、見え方は変わります。

計算はあくまで計算です。50.9%という数字は、そこで心が折れないことも前提に入っています。

取り崩しの率をいくつにするかという話は、「4%ルール」私が勘違いしていた話と“4%ルール”が4.7%に?生みの親の新説に書きました。どちらも、4%という数字が思っていたより繊細なものだった、という内容です。


7. 現金1,000万円は、3年で尽きます

もうひとつ、計算して気づいたことがあります。

現金から先に取り崩すと、1,000万円は3年でほぼ無くなります。2026年9月時点の残りは75万円でした。

つまりこのシナリオだと、ちょうど今から、株を売り始めることになります。

ここまでの3年は、株を1円も売っていません。増えた資産を眺めながら、現金を減らしていただけです。楽なほうの3年でした。本番はここからで、次の暴落が来たときに株を売れるかどうかが試されます。

資産のうちどれだけを市場に晒すか、という話はエクスポージャーとリスク許容度は、別のものですに書きました。取り崩しは、この比率をコントロールし続ける作業でもあります。

なお、いつ資産を使い始めるか、いつ辞めるかは、自分はまだ決められていません。理由は新NISA出口戦略に3つ書きましたが、そのうちの1つは「なんか暇になりそう」でした。


8. 使い方と、まとめ

同じ計算を自分の数字でやるなら、3ステップです。

  1. 自分の数字を入れる … 年齢・資産・年間の生活費・65歳からの年金
  2. 「FIRE予定年齢」のスライダーを動かす
  3. 成功率とグラフを見る … 緑なら達成圏、黄色ならあと少し

そのうえで「ブレも考える」をオンにしてください。ここを見ないと意味がありません。

「株と現金の配分」を変えたり、教育費の山やタイムバケットを足したりもできます。何を用意すればいいのか分からない場合は、FIREは資産だけじゃ計算できない。最初に集めた4つの道具から読んでもらうのが早いです。

最後に、今回の答え合わせで分かったことを書いておきます。

資産5000万円でFIREできるか。自分の3年でいえば、できました。925万円使って、3,646万円増えています。

ただ、それは成功率50.9%のうちの、良いほうを引いたからです。同じ選択をした人の半分は、いま資産を減らしています。相場は選べません。

だからこのツールは、「いける」と言わせるための道具ではありません。自分が何%のところに立っているのかを見るための道具です。

(それと、数字をいじっているだけではお金は増えません。そこは20年やって確認済みです)

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投資は自己責任でお願いします。このツールは簡易的な試算であり、特定の金融商品を推奨するものではありません。

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