長期投資の「長期」は、子どもが生まれてから成人するまでの長さでした

暴落・投資マインド

インデックス投資のブログやYouTubeを見ると、かならず出てくるものがあります。

「月5万円を年利5%で30年運用すると、約4,160万円になります」

※ 毎月の積立を年利5%で複利計算した単純な試算です。税金や手数料は含みません

きれいな右肩上がりのグラフで、計算式もわかりやすい。

でも、見るたびに思うんです。

30年って、めちゃめちゃ長くないですか。

自分は20年やってきました。まだ30年に届いていません。そのうえで、結論を先に書きます。

長期投資は、めっちゃ長いです。覚悟がいります。

グラフは右肩上がりでも、実際に通る道はまっすぐではありません。その長さの途中で何に耐えることになるのか、20年の記録から書いていきます。

つみたていぬ

長い、長期投資めちゃくちゃ長いぞ。

この記事の目次

  1. 長子が生まれたときには、もう始めていました
  2. 子どもの年齢と、資産を並べてみました
  3. 覚悟① 最初の4年半は、ずっとマイナスです
  4. 覚悟② 12年やっても、たいして増えません
  5. 覚悟③ 途中で、相場も生活も揺れます
  6. 覚悟④ 商品も制度も、途中で入れ替わります
  7. 報われるのは、最後の数年でした
  8. 覚悟といっても、やることは相場と距離を取ることでした
  9. まとめ

1. 長子が生まれたときには、もう始めていました

投資を始めたのは2007年ごろです。記録が残っているのは2008年7月から。

長子が生まれたのも2008年でした。

つまり、長子の人生とほぼ同じ長さだけ、投資を続けてきたことになります。

  • 保育園の6年間。入園式も、卒園式も、投資を続けていました
  • 小学校の6年間。入学式も、卒業式も、投資を続けていました
  • 中学校の3年間。入学式も、卒業式も、投資を続けていました
  • 高校の3年間。いまも、投資を続けています

長子は今年18歳になります。ジュニアNISAの非課税期間が終わる年です。

会社員の方なら、入社してからの年数に置き換えるとわかりやすいと思います。3年目で「社会人って長くないか」と思い、10年目で「まじか」と思い、20年目で「よくここまで来たな」と思う。あの長さです。

そして「30年」というのは、そこからさらに10年続きます。


2. 子どもの年齢と、資産を並べてみました

長さを数字で見るために、長子の年齢と、投資資産の推移を並べてみました。

年長子元本投資資産損益率
20080歳342万円218万円−36%
20091歳453万円372万円−18%
20102歳535万円478万円−11%
20113歳574万円477万円−17%
20124歳610万円599万円−2%
20135歳646万円947万円+47%
20146歳682万円1,198万円+76%
20157歳729万円1,265万円+74%
20168歳782万円1,284万円+64%
20179歳836万円1,580万円+89%
201810歳893万円1,632万円+83%
201911歳988万円1,871万円+89%
202012歳1,250万円2,330万円+86%
202113歳1,650万円3,549万円+115%
202214歳2,170万円4,446万円+105%
202315歳2,245万円5,222万円+133%
202416歳2,510万円7,275万円+190%
202517歳2,760万円8,905万円+223%
202618歳2,895万円1億547万円+264%

※ 各年12月時点。2026年のみ9月時点。投資資産は証券口座の評価額で、預金・確定拠出年金・ジュニアNISAは含みません

最後の数字だけ見ると、うまくいった話に見えると思います。

でも、この表を上から順に読むと、印象がかなり変わります。ここから、ひとつずつ見ていきます。


3. 覚悟① 最初の4年半は、ずっとマイナスです

長子が0歳から4歳になる年まで、年末の損益は一度もプラスになっていません。

最初の年末はマイナス36%でした。リーマンショックの直後に始めた、というより、始めた直後にリーマンショックが来ました。

元本割れは54ヶ月続いています。いちばん悪かった月は、マイナス40.5%です(積立投資の元本割れは何年続く?)。

子どもが0歳から4歳になるまで、口座はずっと赤字でした。

4年半というのは、「投資って損するだけやん」と結論を出すには十分な長さです。ここでやめる人は、たぶん多いと思います。


4. 覚悟② 12年やっても、たいして増えません

2013年に、一気にプラスへ転じます。ここからは右肩上がり、と言いたいところですが、数字を見るとそうでもありません。

長子が12歳になる年の年末で、資産は2,330万円。元本は1,250万円です。

12年やって、この額です。

6歳から11歳の年までの6年間を見ると、資産は1,198万円から1,871万円。6年で増えたのは673万円で、そのうち306万円は自分で入れたお金です。相場が増やしてくれたのは、6年で約370万円でした。

暴落するわけでもなく、爆発的に増えるわけでもない。この時期は、ずっと地味です。

長期投資の「長期」の大半は、実はこういう時間です。何も起きていないように見える時間が、何年も続きます。その退屈さはインデックス投資はやめたほうがいい?に書きました。


5. 覚悟③ 途中で、相場も生活も揺れます

長い間には、相場が何度も崩れます。

リーマンショック、コロナショック、2025年の関税ショック、2026年の関税ショック。入学式と卒業式のあいだに、これが挟まっています。

ただ、揺れるのは相場だけではありません。生活のほうも揺れます。

2009年から2012年は、月6万円だった積立を月3万円に減らしました。理由は暴落ではありません。お金がなかったからです。手取り350万円で、嫁は専業、子どもが生まれたばかりでした(投資額を半分に減らした年があります)。

積立10年目には、300万円の車を買っています(インデックス投資家がハマる罠)。

20年のあいだに、子どもが増えて、収入が変わって、出ていくお金も変わります。相場が落ち着いていても、続けられなくなる理由はいくらでも出てきます。


6. 覚悟④ 商品も制度も、途中で入れ替わります

いま「これ1本でいい」と言われているオルカン。世に出たのは2018年です。

自分が始めてから、11年後でした。

つまり、20年のうち11年、オルカンは存在していませんでした。その間は日本株のETFや先進国の投資信託を組み合わせて、自分でなんとかしていました。そこを整理した話はポートフォリオの大掃除に書いています。

オルカンを30年積み立てる、と言うとき。そのオルカンは、まだ8年しか生きていません。

これは商品が悪いという話ではありません。「長期」というのは、いま最適に見えるものが生まれるより前から続けている、という長さだということです。

制度も2回、生まれ変わりました。始めたころ、NISAはありませんでした。2014年にNISAができて、2024年に新NISAになりました。

口座を開いたころはマイナンバー制度もなくて、住民票を郵送していました。

30年やるなら、この先も同じことが起きると思っておいたほうがいいです。いまの「正解」が、途中で入れ替わります。


7. 報われるのは、最後の数年でした

もう一度、表の下のほうを見てください。

15歳の年末に5,222万円。18歳の9月に1億547万円。

3年足らずで、5,325万円増えています。資産の半分が、この期間にできました。

しかもこの間に入れたお金は、650万円です(元本2,245万円→2,895万円)。残りの4,700万円近くは、相場が増やしました。

自分の場合、増えたのは最後のほうでした。

同じ利回りでも、残高が大きくなれば、増える金額も大きくなります。15年かけて積み上げた5,000万円台の土台があったから、最後の3年でこれだけ動きました。

逆に言えば、4歳の年でやめていたら、この表の下半分は見られていません。12歳の年でやめていても、見られていません。

ひとつ断っておくと、この3年は円安とAI相場が重なった、出来すぎの期間でもあります。同じことがまた起きるとは限りません(資産5000万円でFIREできますか?)。

それでも、自分の20年を振り返ると、資産が大きく動いたのは最後の数年でした。


8. 覚悟といっても、やることは相場と距離を取ることでした

ここまで読むと、覚悟というのは歯を食いしばることのように見えるかもしれません。

自分の場合は、少し違いました。

投資のことは意識していたほうだと思います。記録は約220ヶ月分つけていますし、毎年の方針も書いてきました。放りっぱなしではありません。

ただ、相場とは距離を取っていました。

パソコンの前に座って、チャートを眺めて、ニュースを追いかけて。そういう時間の使い方はしていません。そもそも子育て中は、頭の中が子どものことと仕事のことでいっぱいで、それどころではありませんでした。

それでも、積立は動き続けていました。自動引き落としにしておけば、見ていなくても積み上がります。

長期投資の「長期」は、相場を見ていた時間ではありません。

相場が上がったとか下がったとか、誰かが「オルカン終わった」と言っているとか。そういうものに20年付き合っていたら、たぶんどこかで降りていました。4年半の赤字も、6年の地味な時期も、近くで見ていたら耐えられなかったと思います。

ただ、距離を取ると、今度は退屈がやってきます。

見ていないので、怖くはありません。でも、何も起きません。積立は勝手に進んで、たまに口座を開くと少し増えている。それだけです。

積立投資の元本割れは何年続く?に年ごとの心の声を書いたとき、14年目から17年目のところは、こうなっていました。

相変わらず退屈。でも続ける

相場と距離を取った結果、怖さの代わりに退屈を抱えることになります。覚悟がいるのは、むしろこっちかもしれません。

うちの嫁は、口座を開いて1ヶ月で見なくなりました。相場との距離でいえば、あれがいちばん遠い。そして、それで正解でした。


9. まとめ

長期投資は、めっちゃ長いです。

自分の20年を長子の年齢で並べると、4歳の年まではずっとマイナス。12歳の年でも2,330万円。資産の半分ができたのは、最後の3年でした。

その途中で、暴落が何度も来て、お金が足りずに積立を半分にした年があって、オルカンもNISAも途中から出てきました。

覚悟がいるのは、この長さの途中で降りないためです。そして降りないためにやったことは、相場と距離を取ることだけでした。

最後に、長さを体感する方法をひとつ書いておきます。スマホの写真を、いちばん古いところまで戻してみてください。

自分は2008年まで戻してみて、めちゃめちゃ昔でした。自分が若い。子どもが小さい。写っているものが、全部いまと違う。

そこから今日までが、「長期投資」と呼んでいる長さです。

「30年後に4,000万円」という数字より、30年間どうやって続けるかのほうが、はるかに難しい問題です。

それでも、長期のインデックス投資は、なるべく早く始めた人にだけ結果が出てくるものだと思っています。

悩んでいるなら、少額からでも始めてみたらいいと思います。

変な投資方法や投資商品より、よっぽど筋がいいと思っています。インデックス投資は、ほかの投資を考えるときの一つの指標にもなります。

長かったですが、始めておいてよかったと思っています。


投資は自己責任でお願いします。この記事は特定の金融商品を推奨するものではありません。

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