インデックス投資 毎月いくら積み立てるべきか:20年の入金記録から答えます

インデックス投資

「毎月いくら積み立てればいいですか?」

よく聞かれます。

答えは「今出せる金額でいい」なのですが、今回は20年分の記録から計算した数字で答えます。

先に、いちばん伝えたいことを書きます。

最初は少額で構いません。続けているうちに、入金力は上がってきます。

自分の場合、月3万円が4年間続いた時期がありました。今の積立額は月15万円です。

そして、いちばん驚いたのはここでした。

月3万円の4年間に入れた144万円は、いま974万円になっています。

一方で、過去最高額を入れた2021年の460万円は、いま1,122万円です。

3倍以上のお金を入れた年より、月3万円の4年間のほうが、増え方は大きかったことになります。

理由は単純で、時間です。金額はあとから増やせますが、時間だけは買えません。

とはいえ、「少額のままでいい」という話ではありません。

2018年に57万円だった年間入金額は、3年後に460万円になりました。どこかで、アクセルを踏める日が来ます。自分の場合は2020年ごろでした。

この記事では、20年分の入金記録を全部出したうえで、それぞれのお金が今いくらになっているかまで計算しています。

つみたていぬ

月3万円の時期、長かったんやね。

この記事の目次

  1. 20年の入金記録を、全部出します
  2. 月3万円の4年間が、974万円になっていました
  3. 36万円と460万円、増え方が逆転していました
  4. 2018年の57万円が、3年後に460万円になりました
  5. なぜ、踏めるようになったのか
  6. 最初は、練習でいいと思っています
  7. 20年やって思うのは、車の運転に似ているということ
  8. まとめ

1. 20年の入金記録を、全部出します

まず、実際の年間入金額です。

年間入金額月換算
2008350万円約29万円
2009116万円約10万円
201075万円約6万円
201136万円3万円
201236万円3万円
201336万円3万円
201436万円3万円
201548万円4万円
201654万円約4.5万円
201754万円約4.5万円
201857万円約4.8万円
2019102万円約8.5万円
2020280万円約23万円
2021460万円約38万円
2022440万円約37万円
202370万円約5.8万円
2024290万円約24万円
2025235万円約20万円
2026180万円(予定)15万円

※月換算は年額を12で割った数字です。実際の入金額は、月によって大きく違います。2026年だけは進行中なので、年間の予定額を入れています。

きれいに増えていません。

2008年は月29万円で始まって、翌年から急減。2011年から4年間は月3万円で固定です。そこから少しずつ上がって、2020年に一気に跳ねます。

グラフにすると、こうです。

20年分の年間入金額

2008年に気合が入りすぎたのは見てのとおりです。投資を始めたばかりで、無理のある金額を入れていました。翌年から続かなくなっています。

そして注目してほしいのが、2011年からの4年間です。

月3万円。年間36万円。4年間まったく増えていません。

当時の自分にとって、これが「投資と生活防衛資金の両方を積み上げながら、無理なく続けられる金額」でした。

この4年間を、自分は長いあいだ足踏みした時期だと思っていました。

計算するまでは。


2. 月3万円の4年間が、974万円になっていました

各年に入れたお金が、いまいくらになっているかを計算しました。

方法を先に書いておきます。218ヶ月分の資産と元本の記録から、毎月の運用リターンを逆算しました。そのリターンで、各年に入れたお金を現在まで複利で回しています。

ひとつ、先に断っておきます。

ここで使っているのは、自分のポートフォリオ全体のリターンです。きれいなインデックス投資だけの成績ではありません。

途中で、日本債券や石油ETF、3倍レバレッジ、個別株、REITなど、いらんものをスポットで買っていた時期があります。損切りしたものも、そこそこ増えたものもあります。それも全部ひっくるめた実際の記録です。

なので「オルカンを月3万円積み立てたら974万円になります」という話ではありません。寄り道も込みで、結果こうなったという記録です。何を買って何を捨てたかはポートフォリオの大掃除に書きました。

各年に入れたお金と、それが今いくらになったか

青が入れたお金、水色がいまの価値です。左に行くほど、差が開いています。

月3万円だった4年間を足すと、こうなります。

2011〜2014年に入れたお金144万円
それが、いま974万円

足踏みだと思っていた4年間が、1,000万円近くを作っていました。

正直、計算するまで信じていませんでした。

当時は「全然増えないな」と思いながら、毎月3万円を入れていました。給料日に引き落とされて、口座の残高がちょっと減る。それだけの、地味な4年間です。手応えはまったくありませんでした。

増えている実感がないので、「この金額でいいのか」とも思っていました。まわりに投資の話ができる人もいません。やめる理由なら、いくらでもありました。

でも、ただ続けていただけのその4年間が、20年後にはいちばん働いていました。

ちなみに、いちばん倍率が高いのは2009年です。リーマンショックの直後で、資産が半分近くまで減って元本割れの真っ最中でした。楽しい時期ではありませんでしたけどね。

いま振り返ると、あのとき入れたお金が、いちばん働いてくれています。


3. 36万円と460万円、増え方が逆転していました

わかりやすい2つの年を並べます。

2013年2021年
入れたお金36万円(月3万円)460万円(月38万円)
いまの価値210万円1,122万円
倍率5.83倍2.44倍

入れた額は12.8倍違います。

なのに倍率は、少ないほうが2倍以上高い。

理由は時間だけです。2013年に入れたお金は13年半働きました。2021年のお金は5年半です。同じ商品を、同じように持っていただけで、この差になります。

ただし、金額で見ると逆です

増えた金額
2013年(36万円)+174万円
2021年(460万円)+662万円

増えた金額は、2021年のほうが4倍近く大きいわけです。

つまり「少額のほうが得」という話ではありません。同じ1円で比べたときに、早く入れたほうが働くというだけです。

言い換えると、こうなります。

いま出せる1万円は、10年後に出す1万円より価値があります。

これが、「少額でもいいから早く始めたほうがいい」ってことです。

じゃあ、最初から大きく入れればよかったのか

そう思うかもしれません。実際、2008年に350万円を入れたときの自分は、たぶんそう考えていました。

でも、続きませんでした。

翌年は116万円、その次は75万円。そして2011年から4年間、月3万円です。

当時の自分には、それ以上の入金力がありませんでした。子供が生まれて、生活防衛資金も貯めなければならない。投資に回せる額は限られていました。

「早く、たくさん入れる」が最強なのは間違いありません。でも、それができるなら誰も苦労しないわけです。

大事なのは次の話です。

入金力は、あとから上がります。


4. 2018年の57万円が、3年後に460万円になりました

2011年から2018年まで、8年間ほぼ月3万〜5万円の世界にいました。

それが2019年から動き出して、2021年には年間460万円まで来ます。3年で8倍です。

自分の感覚では、アクセルを踏めるようになったのは2020年ごろでした。

踏み込んだ3年が、資産の30%を作りました

このアクセル期に入れたお金が、いまいくらになっているか。

前半7年と並べます。

入れたお金いまの価値資産に占める割合
前半7年(2008〜2014)685万円4,983万円49%
アクセル3年(2020〜2022)1,180万円3,070万円30%

各時期の入金が、いまの資産のどれだけを作ったか

この2つの時期だけで、資産の79%です。

前半7年に入れたのは、元本全体のわずか24%でした。それが資産の半分を作っています。そしてアクセルの3年が、3割。

どちらか片方では、ここまで来ていません。

ちなみにこの時期、毎月きれいに積み立てていたわけではありません。

2021年11月から2022年3月まで、5ヶ月連続で月90万円入れています。まとまった資金が動いた時期でした。

積立というより、入れられるときに入れたという感じです。

順番は、逆にできません

大事なのはここだと思っています。

先に「続ける」があって、後から「踏み込む」が来ました。

2020年にいきなり月30万円台を入れられたのは、その前の12年で生活防衛資金を貯め、投資に慣れ、暴落を何度も経験していたからです。何も持っていない状態で、いきなりは入れられません。

逆も無理です。前半7年の685万円だけでは、5,000万円で止まっていました。

少額で続けた期間は、アクセルを踏むための助走でした。


5. なぜ、踏めるようになったのか

8年間、月3万〜5万円の世界にいました。それが急に変わった理由は、3つあります。

生活防衛資金が貯まった

月3万円だった時期、余ったお金は投資ではなく現金に回していました。子供が生まれて、生活を守るほうが先だったからです。

生活防衛資金が600〜700万円の水準まで貯まったとき、「生活の方はもう大丈夫だな」という実感が出てきました。そこから積立額を上げ始めています。

守りが固まるまで、攻められませんでした。この順番は、たぶん逆にできません。生活防衛資金の話はみんな生活防衛資金貯めようぜに書きました。

共働きになった

この時期、世帯の収入がはっきり改善しています。

正直に書くと、入金力の話は、身も蓋もない部分があります。節約でひねり出せる額には限りがあって、収入そのものが変わると桁が変わる。自分の場合はそうでした。

コロナで、方針どおりに動けた

前の年、自分用の投資方針書に、こんな言葉を書き写していました。

他の人が慎重な時は貪欲に仕掛けろ、そして他の人が貪欲なときは慎重にいけ

書いた翌年に、コロナショックが来ました。

大事なのは、あの場で決めたわけではないことです。前の年に方針を書いていたから、動けました。暴落のときに考え始めていたら、たぶん固まっていたと思います。

根性ではなく、仕組みでした

3つとも、気合いを入れて起こしたことではありません。

守りが固まって、収入の土台が変わって、方針を先に書いてあった。条件が揃ったところに、たまたまコロナが来ました。

言い方を変えると、先に仕組みができていたわけです。

  • 生活防衛資金 … 暴落が来ても生活が揺れない仕組み
  • 投資方針書 … その場で迷わなくていい仕組み
  • 積立の設定 … 自分が何もしなくても買い続ける仕組み

気合いは続きませんが、仕組みは続きます。

2008年に月29万円を入れて、翌年から続かなくなりました。あれは気合いでした。2020年に上げた分がその後も続いているのは、仕組みができていたからだと思っています。

なお、この3つがどう噛み合ったのかは、インデックス投資を20年続けた結果【後編】にくわしく書きました。「コロナがチャンスだったのではなく、チャンスを掴める状態ができていた」という話です。


6. 最初は、練習でいいと思っています

「毎月5,000円しか出せない」という人がいます。

それでも始める意味はあります。というより、最初は練習だと思ったほうがいいです。

理由を3つ書きます。

慣れるため

積立投資は、慣れることが最初の関門です。

口座を開く。設定する。毎月引き落とされる。残高が増えたり減ったりする。この一連の流れに慣れていないと、金額を上げることもできません。

自分が2020年に月30万円台まで上げられたのは、その前の12年で慣れていたからです。いきなりやれと言われたら、たぶん手が止まっていました。

数字が動くのを見るため

頭で「複利は強い」と知っていることと、自分の残高が動くのを見ることは別物です。

5,000円でも、数字は動きます。増えるし、減ります。その体感がないと、続ける理由が育ちません。

5章で書いた「実感があとから追いついてきた」は、この延長線上にあります。残高を何年も見ていると、受け取り方が変わってきます。

少額のうちに、暴落を食らうため

これがいちばん大事かもしれません。

暴落が来たとき、自分がどれだけ耐えられるかは、やってみないと分かりません。「長期投資だから持ち続ければいい」と頭で分かっていても、実際に資産が減ると感情が動きます。

少額のうちに経験しておくと、自分の限界が測れます。「これくらいなら平気」「これ以上減ると眠れない」という感覚は、実体験からしか出てきません。

そして、この記事の計算で分かったことがあります。

いちばん働いてくれたのは、元本割れの真っ最中に入れたお金でした。

2009年です。資産が半分近くまで減っていて、続けるのがつらい時期でした。その時期の入金が、いま最大の倍率になっています。

苦しい時期に少額でも入れ続けられたかどうかが、後から効いてきます。その練習を、失っても平気な金額でやっておく。それが月5,000円の意味だと思っています。


7. 20年やって思うのは、車の運転に似ているということ

最後に、自分なりのたとえを書きます。

投資は、車の運転に似ています。

まず目的地を決めました。ただ、乗っているのは普通車です。スピードはそんなに出ません。そして目的地は、思っていたよりずっと遠い。

最初は、とにかく飛ばしました。 2008年です。すぐ疲れて、翌年から失速しました。

そこからはノロノロ運転です。追い越し車線を走っていく人を横目に見ながら、それでも進んではいる。

途中で、何度か渋滞に入ります。暴落です。

ここで大事なことがありました。渋滞のときは、ガソリンが安い。 同じ金額でも、いつもより多く入ります。2009年に入れたお金がいちばん働いたのは、これでした。

そして10年以上たったころ、道が変わります。高速道路に乗れました。

車にも慣れています。給油の仕方も分かっています。途中から、嫁も運転してくれるようになりました。だから、アクセルを踏めました。

いきなり高速には乗れません。 下道をノロノロ走っていた12年が、そのまま練習でした。


8. まとめ

  • 月3万円が4年間続いた時期がある。そこに入れた144万円は、いま974万円
  • 倍率では少額の年が勝つが、金額では大きい年が勝つ。少額のほうが得、という話ではない
  • 前半7年とアクセル3年で、いまの資産の79%ができている
  • アクセルを踏めたのは根性ではなく、生活防衛資金・収入・方針書・実感が揃ったから

「毎月いくら積み立てればいいですか」への答えは、やっぱり今出せる金額です。

でも今回、その理由が自分でもはっきりしました。

いま出せる1万円は、10年後に出す1万円より長く働くからです。金額を待っているあいだに、いちばん価値のある「時間」が減っていきます。

そして、金額はあとから変わります。

自分は8年間、月3万〜5万円の世界にいました。ずっとこのままだろうと思っていました。実際にはそうならなかった。生活防衛資金が貯まり、共働きになり、方針が固まって、ある年から一気に上がりました。

足踏みだと思っていた期間が、いちばん働いていたというのが、計算してみての結論です。

だから、いま少額の人に伝えたいのはこれだけです。

やめないでください。

金額は、あとから増えます。増えなくても、その少額は静かに働き続けます。

つみたていぬ

月3万円の4年間が、いちばん働いてくれてたんやね。


投資は自己責任でお願いします。この記事は特定の金融商品・制度を推奨するものではありません。

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