3本持っているつもりが、実は2本でした【オルカン・VYM・SMTの相関を取った】
インデックス投資いま持っている投資信託とETFは、3本だけです。
オルカン、VYM、そしてSMT海外株式。
このうちSMTは、2008年から持っている古い1本です。信託報酬は0.55%。オルカンの約10倍かかります。それでも含み益が大きすぎて一度には売れないので、少しずつオルカンへ移し替えている最中です。
そこで、ふと思いました。
この3本、そもそもどれくらい違う動きをしているんだろう。
幸い、記録はあります。オルカンを買い始めた2023年1月から2026年8月まで、月ごとの評価額と損益率がエクセルに残っていました。そこから騰落率を42ヶ月ぶん計算して、3本の相関を取ってみました。
結果を先に書きます。
オルカンとSMTの相関は、0.970でした。
ほぼ同じものです。名前も、買った時期も、信託報酬も違うのに、値動きだけはほとんど同じでした。
一方でVYMは0.693。この3本の中で、ここだけが少しズレます。
同じ動きをする2本を持っていても、分散にはなりません。では、どちらを残すのか。その判断まで書きます。
なお、3本とも入金額も買った時期もバラバラなので、これは「どれが優れているか」の比較ではありません。20年やってきた会社員のポートフォリオで、実際にこうなったという記録です。その限界も、最後に書きます。
3本持ってたはずが、中身は2本やったんやね。
この記事の目次
- まず、この3本が何なのか
- 3年半で、こうなりました
- 同じ方向に、動いていました
- 相関を取ったら、0.970でした
- どちらを残すか。答えは決まっています
- VYMは、分配金のために残しています
- この数字の限界
- まとめ
1. まず、この3本が何なのか
いま持っている3本を、簡単に整理します。
| 連動する指数 | 中身 | コスト | |
|---|---|---|---|
| オルカン | MSCI ACWI | 全世界。日本も新興国も含む約3,000社 | 0.05775% |
| SMT | MSCIコクサイ | 日本を除く先進国の株 | 0.55% |
| VYM | FTSE高配当指数 | 米国の高配当株 約600銘柄 | 0.04% |
SMTの正式名称はSMT グローバル株式インデックス・オープンです。もとは「STAMグローバル株式インデックス・オープン」という名前で、2008年ごろから積み立ててきた古い1本です。
当時としては、これがベターな選択肢でした。今のような超低コストのインデックスファンドは、まだ存在していません。
そしてオルカンを初めて買ったのが、2023年1月です。
それまでは、先進国インデックスやニッセイ外国株式、新興国インデックスなどを別々に持っていました。というより、自分で「全世界」を組み立てようとしていたわけです。先進国を買って、新興国を足して、日本株も少し。
オルカンが出てきて、その手間が全部いらなくなりました。この整理の経緯はポートフォリオの大掃除にくわしく書いています。
ここで、指数の中身をよく見てください。
- オルカン=全世界(日本も新興国も入っている)
- SMT=日本を除く先進国(新興国も入っていない)
違うもののように見えます。でも、実際の中身の比率を見ると話が変わります。
これは今の自分のポートフォリオを、資産クラス別に分けた数字です。
| クラス | 割合 |
|---|---|
| 先進国株式 | 93.7% |
| 新興国株式 | 4.2% |
| 日本株式 | 2.1% |
先進国株が9割を超えています。
オルカンは全世界に投資する商品ですが、時価総額で配分するので、結局は先進国が大半を占めます。そして先進国の中身は、6割が米国です。
つまりオルカンとSMTの違いは、日本2%と新興国4%だけということになります。
この時点で、なんとなく察しがつくと思います。
この2本、たぶん似た動きをします。
問題は、それが「なんとなく似ている」のか「ほぼ同じ」なのかです。そこを数字で確かめたのが、この記事です。
2. 3年半で、こうなりました
まず、3本の評価額の推移です。

数字にすると、こうなります。
| 2023年2月 | 2026年8月 | この間の追加投資 | |
|---|---|---|---|
| オルカン | 672万円 | 4,310万円 | +1,722万円 |
| VYM | 1,849万円 | 4,036万円 | +669万円 |
| SMT | 938万円 | 1,893万円 | 0円(むしろ少し売却) |
オルカンが3年半で672万円から4,310万円になっています。
でも、これを見て「オルカンがいちばん優秀」と言うのは、完全に間違いです。
1,722万円を追加で入れているからです。
一方でSMTは、この3年半で1円も買い足していません。それどころか2026年1月に、取得原価ベースで22万円ぶんを売っています。それでも938万円が1,893万円になりました。
つまり、評価額を並べても、何も分かりません。入金の量が違いすぎます。
ここで手詰まりになりました。
入金の影響を受けずに、3本を比べる方法はないのか。
あります。値動きの「方向」だけを見ればいいわけです。
金額がいくらであっても、月ごとに上がったか下がったかは記録に残っています。そこだけを取り出せば、入金の量に関係なく、3本が同じように動いているかどうかが分かります。
というわけで、次はそれを見ていきます。
3. 同じ方向に、動いていました
月ごとに、上がったか下がったか。それだけを取り出して3本並べたのが、このグラフです。

ほぼ重なっています。
数えました。
| 3本そろって上がった月 | 23ヶ月 |
| 3本そろって下がった月 | 9ヶ月 |
| バラけた月 | 10ヶ月 |
42ヶ月のうち32ヶ月、76%は3本が同じ向きでした。
下がった月を見ると、もっとはっきりします。
| オルカン | VYM | SMT | |
|---|---|---|---|
| 2026年4月(関税ショック) | -7.1% | -3.5% | -6.3% |
| 2024年8月 | -4.8% | -4.9% | -4.3% |
| 2025年5月 | -4.4% | -6.8% | -4.5% |
| 2023年11月 | -4.0% | -2.6% | -4.2% |
逃げ場がありません。下がるときは、3本まとめて下がっています。
バラけた10ヶ月を見てみると
面白いのは、バラけた月の内訳です。
10ヶ月のうち6ヶ月は、VYMだけが逆を向いていました。 オルカンとSMTが上がった月にVYMが下がる、あるいはその逆です。
オルカンだけが逆だったのは3ヶ月、SMTだけが逆だったのは1ヶ月。
つまり足並みを乱すのは、だいたいVYMということになります。
ひとつ、数字のいたずらがあります
グラフの2024年9月、VYMだけが-11.5%と大きく落ちています。
これは値下がりではありません。
この月、VYMを497万円ぶん買い増しています。買ったばかりの分は、まだ値上がりしていないので、全体の数字を下に引っぱるわけです。
同じことが、積み立てているオルカンでは毎月起きています。
なので76%という数字は、控えめに出ています。 入金の影響を取り除けば、もっと揃うはずです。その検証は7章でやります。
ここまでは「だいたい同じ」という話です。次は、それを1つの数字にします。
4. 相関を取ったら、0.970でした
「だいたい同じ」を、1つの数字にします。
相関係数という指標があります。2つの値動きがどれくらい似ているかを、-1から1で表すものです。
- 1.000 … 完全に同じ動き
- 0 … まったく無関係
- -1.000 … 完全に逆の動き
42ヶ月ぶんの月次データで計算しました。

| 組み合わせ | 相関係数 |
|---|---|
| オルカン × SMT | 0.970 |
| VYM × SMT | 0.732 |
| オルカン × VYM | 0.693 |
0.970です。
株の世界で0.97というのは、「似ている」ではなく「同じもの」の水準です。片方が上がれば、ほぼ確実にもう片方も上がる。
予想はしていました
正直、この2本はほぼ同じものだろうと思っていました。どちらも中身は先進国株です。
意外だったのは、新興国が入っていても誤差だったことです。
オルカンには新興国が入っています。SMTには入っていません。ここは違いとして効いてくるだろうと思っていました。でも実際には、4%では値動きは変わりませんでした。
「同じ動きをするものを2本持っていても、分散にはならない」——これも、頭では分かっていたことです。
分かってはいたけれど、数字で確認できたのは初めてでした。
なぜ同じものが2本あるのか
念のため書いておくと、リスクを分散させるつもりでSMTとオルカンを両方持っているわけではありません。
自分の方針は、ずっとこれです。
- できるだけ売却しない。長く持つ
- 買い増しは、そのとき一番低コストの商品に乗り換える
この2つを続けると、古い商品が残り続けるわけです。
新しく安い商品が出るたびに、積立の行き先だけを変えてきました。すでに持っている分は売らない。だから2008年から持っているSMTが、いまも1,893万円ぶん残っています。
間違えて重複させたのではなく、方針どおりに動いた結果がこれです。
VYMは0.693
一方でVYMは0.693です。同じ方向には動くけれど、オルカンとは少しズレます。
3章で「足並みを乱すのはだいたいVYM」と書きましたが、それが数字にも出ました。
VYMは米国の高配当株、約600銘柄です。オルカンの中身は全世界3,000社。重なってはいるけれど、同じではないわけですね。
ただ、ここで問題が出てきます。
売らずに持ち続けている1本の信託報酬が、0.55%もあるということです。
5. どちらを残すか。答えは決まっています
値動きが同じ2本なら、残すのは1本でいい。
そこで、そもそもなぜオルカンなのかに戻ります。
理由は3つです。
1つめ。世界経済は、これからも成長すると思っています。
2つめ。でも、どこの国が伸びるかは分かりません。
3つめ。だったら、市場をまるごと買うのが正しい。
どこが伸びるか分からないなら、全部持っておけばいい。しかも時価総額加重なら、伸びた国の比率が勝手に上がり、しぼんだ国は勝手に下がります。自分で判断しなくていいわけです。
そのうえで、コストが安い。
この考え方はオルカン vs S&P500 vs 全米株にも書きました。「広く分散・自動調整・激安コスト」の3つです。
SMTは、この条件を満たしません
同じ物差しでSMTを見ます。
| オルカン | SMT | |
|---|---|---|
| 市場をまるごと | 全世界 約3,000社 | 日本と新興国が入っていない |
| 自動調整 | 全世界の中で調整 | 先進国の中だけ |
| コスト | 0.05775% | 0.55% |
「どこが伸びるか分からないから全部買う」という方針に、SMTは合っていません。
新興国が伸びたとき、SMTは拾えないからです。4章で見たとおり、今のところその差は誤差でした。でも誤差で済むかどうかは、これから決まる話です。
そして、コストは10倍違います。
コストは、実額で見ると重いです
パーセントだと小さく感じるので、2025年に実際に引かれた金額を出します。
| ファンド | 評価額 | 2025年に引かれた管理費用 |
|---|---|---|
| オルカン | 2,897万円 | 12,342円 |
| SMT | 1,872万円 | 88,266円 |
評価額は1,000万円少ないのに、引かれた額は約7倍です。差額は毎年7〜8万円。10年で70〜80万円になります。
この話は信託報酬をなめたらあかんにくわしく書きました。
ところが、売れないんですね
答えは出ています。オルカンを残して、SMTを減らす。
ただ、そう簡単ではありません。
SMTの損益率は、+793.9%です。
2008年から持っているので、含み益が大きすぎます。全部売れば、その利益に約20%の税金がかかる。一度には売れません。
なので毎年少しずつ売って、NISAの成長投資枠でオルカンに入れ替えています。
その進み具合が、データに出ていました。
この3年半で減らせたのは、取得原価ベースで22万円ぶんだけです。2026年1月に一度売っただけでした。
その一方で、SMTの評価額は938万円から1,893万円に増えています。
売る速度より、値上がりの速度のほうが速い。
コストが高いほうの1本が、勝手に育っていく。育つほど、売るときの税金も増えていきます。
6. VYMは、分配金のために残しています
VYMの相関は0.693でした。3本の中で、ここだけが少しズレます。
ただ、分散のために持っているわけではありません。
理由は1つだけです。分配金。
年4回、現金が入ります
VYMは米国の高配当株ETFなので、年4回、口座に現金が振り込まれます。
2025年に受け取ったのは、税引き後・円換算で58万円でした。
これが、オルカンにはないものです。
オルカンは分配金を出しません。中で再投資されるので、効率だけを見ればそちらのほうが優れています。税金も引かれません。
それでもVYMを持っているのは、自分が「お金を使うのが下手」だからです。
含み益は、使えません。売らないと現金にならないし、そもそも売る気がない。20年かけて資産は1億円になりましたが、使い方が分からないままここまで来ました。
ところが分配金だと、話が変わります。勝手に現金が入ってくるので、使うしかない。
この話は「お金を使う練習」を始めた話とVYM分配金の使い道を全部公開に書きました。
効率は、悪いです
正直に書いておくと、VYMは効率のいい商品ではありません。
2025年の分配金は、税引き前で約80万円ありました。そこから税金が引かれ、確定申告で少し戻ってきても、約19万円は確実に消えます。
もしこの80万円がオルカンの中にあれば、1円も課税されずに複利で回り続けていたわけです。
毎年19万円ぶん、複利の原資が削られている。これがVYM最大のデメリットです。この話はVYMのデメリットにまとめました。
それでも持っている理由
効率が悪いと分かっていて、なぜ持ち続けるのか。
自分の性格に対する処方箋だからです。
使えないまま資産だけが増えていくより、年4回、強制的に現金が入ってくるほうが、自分には合っていました。19万円は、その仕組みを買っている代金だと思っています。
そして結果として、相関0.693という数字にもなりました。
オルカンとは少し違う動きをする。分散にもなっていた。ただしこれは狙って作ったものではなく、副産物です。
分配金のために持っていたら、たまたま分散にもなっていた。
7. この数字の限界
ここまで書いてきたことには、限界があります。先に自分で書いておきます。
3本とも、入れたお金の量が違います
毎月の積立は、全部オルカンに入れています。VYMはときどき買い増し、SMTは買っていません。2章で見たとおり、条件がまったく違うので「どれが優秀か」の比較にはなりません。
相関の数字にも、入金が混ざっています
3章で書いたように、買った直後の分は「まだ値上がりしていない」ので、数字を下に引っぱります。
なので、確かめました。
買い足しも売却もしなかった月だけを抜き出して、もう一度計算しています。
| 全42ヶ月 | 売買のなかった月だけ | |
|---|---|---|
| VYM × SMT の相関 | 0.732 | 0.720(29ヶ月) |
| VYM × SMT が同じ方向 | 83% | 86% |
ほとんど変わりませんでした。
つまり、入金の影響は相関を大きく歪めていません。むしろ取り除くと数字は良くなるので、記事に出した0.970は控えめな値ということになります。
ただしオルカンは、43ヶ月のうち38ヶ月で売買があります。 毎月積み立てているので当然です。きれいな月が3〜4ヶ月しか残らないため、そこだけで計算した数字(0.99台)は参考値にしかなりません。
期間が3年半しかありません
もうひとつ、大きな限界があります。
この42ヶ月は、ほとんど上げ相場でした。3本そろって下がった月は9ヶ月だけです。
本格的な暴落を挟んでいません。リーマンショックのような局面で、この3本がどう動くかは、このデータからは分かりません。
もっとも、暴落のときほど相関は上がると一般に言われています。みんなが一斉に売るからです。そうだとすれば、「逃げ場がない」という結論は、暴落局面でむしろ強まることになります。
そして、これは私1人の記録です
3本の商品を、違う時期に、違う金額で買った、ある会社員のポートフォリオの話です。
一般論として「オルカンとSMTの相関は0.970」と言えるかというと、言えません。私の買い方でそうなった、というだけです。
それでも、自分の手元にあるものが実際どう動いたかは、分かりました。それがこの記事の全部です。
8. まとめ
- オルカン・VYM・SMTの3本を、42ヶ月ぶんの記録で比べた
- オルカンとSMTの相関は0.970。ほぼ同じものだった。違いは日本2%と新興国4%だけ
- 42ヶ月のうち76%は、3本そろって同じ向き。下がるときは3本まとめて下がる
- 同じ動きをする2本は、分散にならない。分かってはいたが、数字で確認できた
- SMTが残っているのは失敗ではなく、「売らない・買い増しは低コストへ」という方針の結果。ただし含み益が大きく、売る速度より値上がりのほうが速い
- VYMは分配金のために持っている。相関0.693は、狙ったものではなく副産物
やってみて、いちばん腑に落ちたのはここでした。
同じものを2本持っていても、リスクは分かれません。
頭では分かっていたつもりでしたが、0.970という数字を自分のデータで見ると、受け取り方が変わります。「なんとなく分散できている気がする」が、はっきり否定されました。
そして、どこが伸びるか分からないから市場をまるごと買う、という方針を持っているなら、日本と新興国が抜けている1本を持ち続ける理由はありません。値動きが同じで、コストが10倍で、カバー範囲が狭い。残す理由がないんですね。
とはいえ、税金があるので一気には動けません。毎年少しずつ、20年かけて作った歪みを直しています。
自分の持っている商品が、実はどれくらい似ているのか。証券会社の画面には出てこない情報です。エクセルに記録さえあれば計算できるので、一度やってみると面白いと思います。
2本に分けてても、中身が同じなら1本と変わらんのやね。
投資は自己責任でお願いします。この記事は特定の金融商品を推奨するものではありません。