日本債券インデックスで55万円損した話:余計なことをするなという教訓

インデックス投資

日本国債価格の下落

投資の失敗体験談を書きます。

株式で損するならまだわかる。でも今回の失敗は債券でした。しかも20年の投資歴の中で、ダントツで一番損した商品という結果になりました。

安全なはずのものが、いちばん損をさせてくれた。そういう話です。

つみたていぬ

下手な債券、貯金に劣る。
実体験です。

この記事の目次

  1. 買い始めた理由:定期預金の代わりのつもりだった
  2. 保有額の推移
  3. 金利が上がった。そして債券価格が下がった
  4. 2024年に売却。損失は約55万円
  5. 何が失敗だったのか
  6. ここで、もっと怖い話をします
  7. シンプルが最強という結論

買い始めた理由:定期預金の代わりのつもりだった

2019年9月、eMAXIS Slim 国内債券インデックスを購入し始めました。

当時の条件は、こうです。

項目内容
信託報酬(実質コスト)0.139%
1年リターン(2019年3月時点)+1.74%
日本の政策金利マイナス金利(-0.1%)の時代
10年国債利回りほぼゼロ〜マイナス圏

生活防衛資金として、ある程度の資産が積み上がってきたタイミングでした。「このお金、どこに置くか」を考えていたんです。

ゼロ金利の時代に、定期預金に置いてもほとんど利息はつきません。それなら低コストの債券インデックスを、定期預金の代わりにしよう。そう考えました。

しかも当時の1年リターンはプラス1.74パーセント。「定期預金より全然マシやん」と思ったわけです。この”マシやん”が、そもそもの間違いでした。

本来のセオリーは、個人向け10年国債です。元本保証で、金利が上がれば利率も上がる変動型。まさに「安全資産の置き場所」として設計された商品です。

でも「10年も持ち続けるのは長いな」という漠然とした感覚があって、解約しやすい投資信託を選んでしまいました。(実際には個人向け国債も1年経てばいつでも解約できるので、この認識自体が間違っています)

これが、後々の失敗につながります。


保有額の推移

買い始めてから売却まで、保有残高はこう推移しました。

保有残高(概算)
2019年9月(購入開始)約300万円
2020年1月約300万円
2021年約500万円
2022年約650万円
2023年約640万円
2024年(売却前)約700万円

最終的に700万円。生活防衛資金の代わりのつもりが、けっこうな額になっていました。

ここも反省点です。「安全資産だから」と思っていたので、金額が増えることに無警戒でした。株式なら「増えすぎたな」と気にするのに、債券だと気にしない。安全だと思い込んでいる資産ほど、点検しなくなるんですよね。


金利が上がった。そして債券価格が下がった

2019年から現在まで、日本の長期金利(10年国債利回り)は、こう動きました。

10年国債利回り(概算)
2019年ほぼゼロ〜マイナス(-0.04%)※1
2020年ゼロ近辺
2021年0.02〜0.13%
2022年0.10〜0.25%(上昇開始)
2023年0.43〜0.91%(大幅上昇)
2024年0.60〜1.09%(さらに上昇・この年に売却)
2026年7月2.7%台(30年ぶりの高水準)

2022年ごろから世界的なインフレと金利上昇が始まり、日本も例外ではありませんでした。2024年3月にはマイナス金利が解除され、その後も金利の上昇は続いています。

2026年7月時点で、10年国債の利回りは2.7パーセント台。 自分が買い始めた2019年はマイナス圏だったので、まったく別の世界になりました。

債券価格と金利は、逆の動きをします。 金利が上がると、既存の債券の価格は下がる。これは債券の基本的な仕組みです。

わかっていたはずなのに、ここまで金利が上がるとは思っていませんでした

※1 ここでの数値は市場で取引される長期国債(10年国債)の利回りです。個人が直接購入できる個人向け国債(変動10年)は最低金利0.05パーセントが保証されており、市場金利がマイナスになっても利回りがマイナスになることはありません。今回購入した債券インデックスファンドは市場価格に連動するため、金利上昇の影響をダイレクトに受けました。


2024年に売却。損失は約55万円

売却したのは2024年の3月と6月。一度に手放さず、2回に分けて売りました。

結果は、約55万円の損失です。

告白すると、自分はずっと「30万円くらいの損」だと思っていました。当時の投資方針書にも「30万の損」とメモしています。

ところが後日、確定申告の書類を見返して驚きました。税務上の正確な譲渡損失は、546,327円。自分の記憶より、25万円も多かったんです。

損というのは、こんなにも小さく記憶されるものなのか、と思いました。都合の悪い数字は、無意識に丸めてしまうのかもしれません。記録は残しておくものです。(この損失は、後の確定申告で損益通算に使うことになります。損した分が、税金で少し返ってきました)

株式なら「暴落で損した」という話は珍しくありません。でも債券で損するというのは、正直びっくりしました。日本債券でですよ。外国債券なら為替もあるので、わからんでもないんですが。

しかも20年の投資歴の中で、今まで持ってきたどの商品よりもダントツで損した商品になってしまいました。ロシアのファンドでマイナス75パーセントを食らったこともあるのに、金額でいえば、この地味な日本債券が一番です。安全資産のつもりだったものが、です。

売却タイミングも遅かったと思っています。ただ、その後も金利は上がり続けました。2024年時点で1パーセント前後だった10年国債の利回りは、2026年には2.7パーセント台。結果論ですが、あのまま持ち続けていたら、さらに含み損が膨らんでいた可能性が高い。「まだマシな売り時だった」と言えます。


何が失敗だったのか

振り返ると、失敗の原因は明確です。

① 市場(金利・インフレ)を読もうとした

「ゼロ金利が続くだろう」という予測のもとで投資判断をしていました。でも市場は誰にも読めない。2019年時点で、ここまでのインフレや金利上昇を正確に予測できた人は、ほとんどいなかったはずです。

これはiDeCoの商品選びの記事でも書きましたが、インフレも、それに伴う金利上昇も、まったく読めないものでした。

② 個人向け10年国債というセオリーを外した

元本保証で変動金利の個人向け10年国債を選んでいれば、金利上昇の恩恵を受けられたはずです。実際、今の個人向け国債は当時とは比べものにならない金利がついています。「10年は長い」という感覚だけで投資信託を選んだのは、判断ミスでした。

③ 余計なことをした

これが本質です。

現金と、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)+VYM。このシンプルなポートフォリオで十分でした。そこに「定期預金の代わりになるかも」という発想で債券を加えたのが、余計だったんです。

余計なことをするのは、リスクを増やすことと同じでした。この「やらなくていいこと」の話は、インデックス投資でやらなくていいことにもまとめています。


ここで、もっと怖い話をします

債券で55万円損した。それは事実です。

でも、この失敗を振り返っていて、もっと怖いことに気づきました。

金利が上がる局面では、その背景にインフレがあることが多い。そしてインフレが進むというのは、今持っている現金の購買力が、少しずつ下がっていくことでもあります。

債券は、価格が下がれば「マイナス55万円」と目に見えます。証券口座に赤字で表示されるので、嫌でも気づく。

でも現金は、口座の数字が減りません。100万円は、1年後も100万円のまま。減っていないように見えます。

でも、同じ100万円でも、買えるモノやサービスは減っています。物価が年3パーセント上がれば、現金の価値は年3パーセント目減りしているのと同じ。1年で3万円分、静かに損しているわけです。それが5年続けば、数字は100万円のままなのに、実質的には約14万円分、買えるモノが減っています

債券の損は見える。現金の損は見えない。 これが、インフレのいちばん怖いところだと思います。

自分は債券で55万円損して、それを「痛い失敗」として記事にしています。でも同じ期間、現金で持っていた分も、目に見えない形で目減りしていたはずです。そちらは記事にすらならない。気づかないから。

だからこそ、自分は株式インデックスを中心に資産を持っています。企業はインフレ時に価格転嫁できる場合が多く、その利益は長期的には株価にも反映されやすい。一方で、現金はインフレに対して無防備です。もちろん株価は短期では大きく上下しますが、20年投資を続けてきて、この違いは大きいと感じています。


シンプルが最強という結論

この失敗から、改めて確信したことがあります。

現金+株式インデックス。このシンプルなポートフォリオが、長期的に最も合理的です。

資産役割
現金(生活防衛資金)緊急時・暴落時の備え
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)長期の資産成長
VYM分配金・使うためのお金

債券を、わざわざ挟む必要はありませんでした。余計なものを加えるほど、管理は複雑になり、予期しないリスクも増えます。

もちろん、生活防衛資金は現金で持ちます。ここはインフレに負けようが、動かしません。すぐ使える安心のほうが大事だからです。問題は、その現金が「安全だから」と必要以上に膨らんでいくこと。自分の場合、それが債券という形で700万円まで育っていました。

20年の投資で出した、珍しいタイプの失敗でした。でもこの失敗があったから、「シンプルに徹する」という考えが、一層強くなっています。


投資は自己責任でお願いします。この記事は特定の金融商品を推奨するものではありません。

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