新NISA出口戦略:20年投資してきた自分がまだ答えを出せていない話

FIRE・出口戦略

「新NISAの出口戦略、どうするの?」

この質問に、半分だけ答えが出ました。

売る順番は決まりました。VYMの分配金、特定口座、NISA、最後に確定拠出年金。この順で手をつけます。シミュレーターに自分の数字を入れると、成功率は96%でした。

決まらないのは時期のほうです。しかも、その理由が「お金が足りないから」ではありませんでした。

つみたていぬ

数字は出たのに、決まらんのやなぁ。


積立は「買い続けるだけ」でよかった

投資の積立フェーズはシンプルです。

毎月決まった金額を、決まった商品に、自動で買い続ける。考えることはほとんどない。暴落が来ても買い続ける。それだけです。

でも出口は違います。

いつ売るか。いくら売るか。何から売るか。売り続けながら残りをどう運用するか。

答えが一つではないし、自分の寿命もわからない。積立と違って正解がない。考えなければいけない変数が多いのだと思いますね。だから難しい。


自分の数字を並べます

まず現在地です。

投資資産約1億円
企業型DC約2,000万円
年間生活費(20年平均)約250万円
直近の生活費約300万円
想定するライン300〜350万円
VYMの分配金年約60万円

家計簿をつけ始めてから約20年。その平均が年250万円で、最近は300万円ちょっとに増えています。長い目で見れば300〜350万円の間に収まる感覚があります。

生活費が数字で把握できているのは、家計簿のおかげです。出口を考えるときに何が必要だったかはFIREは資産だけじゃ計算できない。最初に集めた4つの道具にまとめました。

車のような大きな支出は、投資とは別に管理しています。生活防衛資金の最低ラインは割らない前提で、貯金が積み上がったタイミングで買う。だから上の生活費には、そういった特別支出は入っていません。置き場所は普通の会社員が1億になるまで、銀行口座はこの形でしたに書きました。


数字のほうは、もう答えが出ています

FIREシミュレーターに、この数字をそのまま入れました。

成功率は96%。多めに使う設定にしても、90%を下回りませんでした。

いや、いけるんよ。

シミュレーターの詳細な条件は、別記事にまとめます。

ここで言いたいのは96%という数字そのものではなくて、数字の上ではもう辞められると確認できた、ということのほうです。

お金の計算は、終わっています。


売る順番だけは決まりました

方向性ではなく、順番として決まったのがこれです。

順番何をなぜ
1VYMの分配金勝手に入ってくる。売る必要がない
2特定口座先に売るほど得になる(後述)
3NISA非課税を最後まで働かせたい
4企業型DC60歳まで触れない

なぜ特定口座が先か

特定口座は、売ると利益の約20%が税金で消えます。NISAは何年持っても非課税です。

課税される口座を先に減らして、非課税の口座を長く残す。自分の場合は、特定口座を先に減らすほうが合理的だと判断しました。特定口座を最後まで置いておくと、その間に増えた分にも課税されるからです。

ただ、ここはかなり単純化しています。実際には売るタイミング、取得価格、その年の他の所得、将来の税制でも変わります。誰にでも当てはまる順番ではありません。

それでも、自分の順番を決める基準としては、これでいいと思っています。

なぜDCが最後か

選んだのではなく、そうするしかないからです。確定拠出年金は60歳まで引き出せません。

受け取り方でも税金がかなり変わります。一時金と年金で何十万円も違う話は2,000万超の確定拠出年金、どう受け取る?に書きました。退職したときの手続きは2,000万の企業型DC、退職したらどうする?です。


4%ルールは、調べても結論を変えませんでした

出口の勉強をすると、必ず4%ルールが出てきます。自分もかなり調べました。

世間で言われている4%が3種類に割れていることも、生みの親が「もっと使え」と言い出したことも分かりました。

それで自分の出口が変わったかというと、変わっていません。

知る前と後で、やることは同じでした。積み立てて、VYMの分配金を使って、いずれ順番に売る。詳しくなったぶん安心はしましたが、判断は動かなかった。

調べても結論が変わらないのは、たぶん自分の取り崩し率がもともと低いからだと思います。


それでも、辞める時期が決まりません

条件を挙げることはできます。

資産が2億を超えたら。あるいは、あと3年から5年。

でも、こうやって条件を書き出してみても、決まる気がしないんですね。数字を足しても引いても、答えが出てこない。

足りないから辞めない、という話ではないんですね。数字はもう足りています。

それでも動かない理由を並べてみると、3つありました。

ひとつめは、ラストエリクサー問題です。

RPGで、最後まで使わずに持っていたアイテムです。ここぞという場面はあったはずなのに、いつか来るもっと大事な場面のために取っておく。そしてクリアまで一度も使わない。

いまの資産がこれです。使うために積み上げてきたのに、いざ使う番になると手が止まる。

ふたつめは、あと1年、あと1年です。

数字の上では辞められると分かっているのに、目の前の給料をつい拾ってしまうやつです。いま辞めても大丈夫。でも、あと1年働けばもっと余裕が出る。これを毎年繰り返せる自信があります。

みっつめは、なんか暇になりそう、という問題です。

朝起きて、やることがない。それが毎日続く。想像してみると、そっちのほうが怖い。お金が足りなくなることより、時間が余ることのほうが具体的に怖いんですね。

重なっているところが大きい

出口を止めているもの。ラストエリクサー問題・あと1年あと1年・なんか暇になりそう、の3つが重なっている図

3つのうち2つは、お金の話に見えます。

でも、どちらも「足りない」という話ではありません。使えない。もっと欲しい。金額ではなく、お金に対する気持ちのほうです。だから計算しても答えが出ません。

厄介なのは、この3つが別々に存在していないことです。

使えない。もう1年働ける。辞めても暇。この3つが重なっている面積が大きくて、今のところ辞めません。

どれか1つなら、たぶん理屈で押し切れます。でも3つ同時に来ると動けない。

逆に、どれか1つが崩れたら辞めると思う

書きながら気づいたんですが、たぶんそういうことなんですね。

仕事がどうしても嫌になった。辞めます。 何か夢中になれるものが見つかった。辞めます。

どちらも、お金の計算とは関係のないところで起きます。足りないのは資産ではなくて、きっかけのほうです。

出口戦略の本にも、シミュレーターにも、この変数は入っていません。取り崩し率も成功率も、辞めたあとの時間の使い道までは計算してくれない。

これは戦略の話ではありません。ただ、自分の出口を止めているのは、間違いなくここです。


まだ分からないこと

もうひとつ、確かめられていないことがあります。

資産が減っていくのを見ながら生活する感覚です。

いまはVYMの分配金だけを使っています。入ってきたものを使っているだけなので、元本は減りません。使う練習としてはVYM分配金の使い道を全部公開に書いたとおり、少しずつ慣れてきました。

でも、持っているものを売って使うのはやったことがない。

20年間ずっと「買う」ことだけを考えてきました。暴落が来ても買う。給料が入ったら買う。そのマインドが染みついています。それを「売る」に切り替えたとき、自分が何を感じるかは、やってみないと分かりません。

シミュレーションの上では、資産総額はむしろ増え続けるはずなんですが。


今言えること

項目現状
売る順番決まった(VYM → 特定 → NISA → DC)
成功率96%(多めに使っても90%以上)
4%ルール調べたが、結論は変わらなかった
辞める時期決まっていない
決まらない理由使えない・もう1年働ける・辞めたら暇。この3つ
辞めるとしたら数字ではなく、きっかけが来たとき
元本を削る感覚まだ経験なし

数字の順番は出ましたが、気持ちの答えが出ていません。

4月にこの記事を書いたときは「まだ迷走中」と書きました。4ヶ月経って、迷っている場所が変わっただけです。


出口が見えているだけで、今が楽になる

具体的な答えは出ていない。でも、輪郭が見えているだけで、今の気持ちがずいぶん楽になっています。

一番感じるのは、仕事との向き合い方が変わったことです。

仕事が合わなくなってきたとき、「いつでも辞めることができる」という感覚がある。すぐに辞めるわけではないし、辞める予定もない。でも「辞められない」と「辞めようと思えばいつでも辞められる」では、気持ちの余裕がまったく違います。

20年間投資を続けてきた理由のひとつは、ここだったのかもしれません。

出口は「いつか使うもの」ではなく、今の自分を支えるものでもあると思っています。

そして、辞めたあとに何をするか。そっちを先に考えないといけない気がしています。


投資は自己責任でお願いします。この記事は特定の金融商品・制度を推奨するものではありません。

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