利益が出たら売りたくなる? 20年で売りたくなったのは、3倍レバレッジだけでした
インデックス投資インデックス投資で「大きな失敗」をした記憶は、ないと思いたいです。
でも、やりがちだったなと思うことはあります。その一つが、利益が出たときに売りたくなることです。
20年やってみて、分かったことがあります。
インデックスでは、一度も売りたくなりませんでした。売りたくなったのは、3倍レバレッジのときだけです。
そして逆に、損が出ているものは、意地でも売れません。いまも1つ抱えています。
儲かってても売らんのに、損してるビットコインだけは手放されへんねん。
この記事の目次
- 利益が出たら売りたくなる、と言われます
- ところが、インデックスでは売りたくなりませんでした
- 一度だけ、売りたくなりました
- 外れていたのは、インデックスだけでした
- なぜインデックスでは売りたくならないのか
- 嫁が聞いてくるのは、目に入ったときだけです
- ただし「売る」ことはあります
- まとめ
1. 利益が出たら売りたくなる、と言われます
資産が増えてくると、こんな気持ちが出てくると言われます。
- 「いまが売り時じゃないか」
- 「いま売ればプラスで確定できる」
- 「+50%なんだから、売れば元本の1.5倍だ」
この行動には名前があります
ディスポジション効果と呼ばれます。
値上がりしたものは早く売り、値下がりしたものは持ち続ける。個人投資家の取引データを調べると、広く見られる傾向だそうです。
| 状況 | 出てくる言葉 | やること |
|---|---|---|
| 含み損のとき | 「あと少し待てばプラスになる」 | 持ち続ける |
| プラスになった | 「いまのうちに確定しよう」 | 早く売る |
なぜそうなるのか
説明としてよく引かれるのが、プロスペクト理論です。
カーネマンとトベルスキーが提唱したもので、「人は利益の喜びより、損失の痛みを強く感じる」という考え方です。2倍以上という推計もあります。
ただし、ディスポジション効果をプロスペクト理論だけで説明できるのかは、まだ決着していません。税金の都合や、「いつか戻る」という思い込みなど、ほかの理由も挙げられています。
この記事で見ていくのは、理屈のほうではなく、自分に何が起きたかです。
自分も、始めたころは思いっきりハマっていました。ファンドを乗り換えるときに「あと少しでプラスになるから、そこで売ろう」と考えていました。
2. ところが、インデックスでは売りたくなりませんでした
投資を始めて7〜8年目、2014年ごろの数字です。
| 金額 | |
|---|---|
| 元本 | 約650万円 |
| 資産 | 約980万円 |
| 損益率 | 約 +51% |
「いま売れば元本の1.5倍で確定できる」という状態です。いちばん売りたくなるはずのところです。
何も思いませんでした。
売ろうかどうか迷った記憶すらありません。記録を見返して「そういえばこの頃こんな数字やったな」と気づいたくらいです。
330万円の含み益を前にして、売る発想が出てきませんでした。
このあとも同じでした。資産が1,000万を超えても、3,000万を超えても、売りたいと思ったことは一度もありません。
3. 一度だけ、売りたくなりました
例外がひとつあります。SPXLです。
S&P500の3倍の値動きをするETFで、2020年のコロナショックで買いました。その経緯はコロナショックで3倍レバレッジを買った話に全部書きました。
これだけは、何度も売りたくなりました。
売りたくなるのは、決まったタイミングでした
思い返すと、条件が2つ揃ったときです。
- 利益が乗っている
- これから下がりそうに見える
2つ目は、いま考えても根拠がありません。ニュースを見たわけでも、チャートを引いたわけでもない。なんとなくです。
それでも売りたくなったのは、3倍だからでした。
減るのも3倍だからです
ここが、インデックスとの決定的な違いでした。
| 1日で株価が -3% | 手元の利益 | |
|---|---|---|
| インデックス | -3% | じわっと減る |
| 3倍レバレッジ | -9% | 一気に削れる |
同じ下げでも、減る速さが3倍です。せっかく積み上がった利益が、3倍の速度で溶けていく。
「いま売らな、無くなる」という気持ちが生まれるのは、こっちでした。
インデックスでは、この感覚が出てきません。下げても減り方が緩いので、慌てる暇がないからです。
気づいたのは、毎月の記録をつけているときでした
もうひとつ分かったことがあります。売りたくなるのは、いつも月初に資産を記録しているときでした。
わが家は月に1回、5分だけ資産を確認して記録しています(→年間11時間、記録を続けました)。
その5分のあいだだけ、SPXLの数字が目に入る。そこで初めて「減ってるやん」と思う。
裏を返すと、見ていない日は、そもそも思い出しもしませんでした。
4. 外れていたのは、インデックスだけでした
ここで、ひとつ気づきます。
3章のSPXLは、そのままディスポジション効果でした。利益が出て、それを失うのが怖くなって、確定したくなった。
そして損のほうも、見事にそのとおりでした。
わがビットコインちゃん
楽天ポイントで買えるビットコインを持っています。現金は1円も使っていない、ポイントだけの遊びです。
| 突っ込んだポイント | 41,583ポイント |
| いまの残高 | 29,282ポイント |
| 損益 | -12,301ポイント(約 -29.5%) |
見事な高値掴みです。詳しくは楽天ポイントはおまけですに書きました。
そして、売っていません。
売れないどころか、下がるたびにポイントを足しています。損切りができず、ナンピンし続けている状態です。
絶賛、売りたくない病です。
例外は、インデックスだけでした
3つ並べます。
| 持っているもの | ディスポジション効果なら | 実際 |
|---|---|---|
| インデックス(含み益) | 早く確定したくなる | 何も思わない |
| 3倍レバレッジ(含み益) | 早く確定したくなる | 売りたくなった |
| ビットコイン(含み損) | 損を確定したくない | 意地でも売らない |
2つはそのとおりで、外れたのは1つだけです。
自分が理屈に強いわけではありませんでした。インデックスだけが、例外だった。
自分で理屈を知っていて、記事にまで書いていて、それでもハマっています。知っていることと、動けることは別でした。
5. なぜインデックスでは売りたくならないのか
理由は3つあると思っています。
① 元本を割らないと分かっているから
含み益が積み上がると、下がっても元本を割らない線を越えます。
+51%の時点では、まだ余裕がありません。
| 下落率 | 資産 | 元本650万と比べて |
|---|---|---|
| -25% | 735万円 | 上回る |
| -33.7% | 650万円 | ちょうど元本 |
| -50% | 490万円 | 下回る |
3割強の下落までしか耐えられない計算です。ところが、元本が2倍になると景色が変わります。
- 元本650万円 → 資産1,300万円(+100%)
- そこから -50% → 650万円。ちょうど元本
+100%を超えると、半値になっても元本割れしません。
こうなると、-20%も -40%も、ただの通過点です。怖くないものを、慌てて手放す理由がありません。
② そもそも見ていないから
これが一番大きいと思います。
資産を見るのは月に1回、5分だけです。証券アプリも、スマホのホーム画面に置いていません。
3章のSPXLがまさにそうでした。売りたくなったのは、記録をつけたその5分だけです。
売りたくなるのは、見ているからです。
③ 世界経済は長期では成長していく、という前提で投資しているから
ここまで2つ書きましたが、①も②も、もっと手前の前提に乗っているだけです。
世界経済は長期では成長していく。 その前提で投資しています。
売らない理由も、下げても平気な理由も、全部ここから来ています。「この先も成長していく」と思えるから待てるのであって、そう思えなければ、①も②も成り立ちません。
裏返すと、ここが揺らいだらお手上げです。
この前提が崩れたら、インデックス投資は無理じゃないかな。
頼むで人類。あとは任せたで。
6. 嫁が聞いてくるのは、目に入ったときだけです
わが家でいちばんこれが徹底しているのは、嫁です。口座すら見ていません。
それでも、たまに聞いてきます。
「いつ売るんや」
最初に聞かれたのは、口座を開けて少し経った頃です。2020年ごろだったと思います。
はっきり覚えていません。それくらい、頻度が低いということです。
答えは決まっています。
「まだ」
これで終わりです。それ以上は聞いてきません。
聞いてくる条件が、はっきりしています
観察していると、条件が2つ揃ったときだけでした。
- 株価が好調だという情報が、どこかで目に入った
- それを忘れないうちに、自分と話す機会があった
この2つが揃うのが、だいたい年に1回くらいです。
忙しいときは、一度も聞いてきません
面白いのはここです。
仕事が立て込んでいる時期は、好調も不調もまったく目に入っていません。だから何も聞いてきません。相場が上がろうが下がろうが、本人の中で何も起きていない。
資産がいくらになったかは関係ありませんでした。情報が目に入ったかどうか、それだけです。
売りたくなるかどうかは、資産額ではなく、目に入るかどうかで決まっていました。
7. ただし「売る」ことはあります
まったく売らないわけではありません。20年で、売り方は3種類ありました。
| きっかけ | 決めたタイミング | |
|---|---|---|
| 衝動の売却 | 上がったから/下がりそうだから | その場 |
| 計画の売却 | 枠を埋めるため | 前の年の12月 |
| 役割が終わった売却 | 持つ理由がなくなったから | 考えが変わったとき |
計画の売却
毎年1月、特定口座のSMTを売っています。新NISAの成長投資枠に移し替えるためです。売る金額は「360万円 − その年の積立額」で決めています(→特定口座を新NISAへ移し替えたら得なのか)。
売る前に理由が決まっているので、相場は見ません。上がっていようが下がっていようが同じ額を売ります。
役割が終わった売却
SPXLがこれでした。2024年に2回に分けて、全部売っています。
| 日付 | 株数 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 2024/1/4 | 193株 | $100.65 | 2,774,873円 |
| 2024/8/20 | 226株 | $150.58 | 4,953,624円 |
買付302.6万円に対して売却774.2万円。+471.6万円、率にすると +155.8% でした。
ここが大事なところです。あれだけ売りたくなっていたときには、売っていません。
売ったのは、持っている理由がなくなったと気づいたときでした。レバレッジ商品を使わなくても、資産全体で株式の比率を上げるほうが早い。その考え方はエクスポージャーとリスク許容度は、別のものですに書きました。
売りたくなった瞬間には売らず、理由が変わった日に売りました。
衝動と、判断は別物です。
8. まとめ
20年やって分かったことを並べます。
- インデックスでは、一度も売りたくなりませんでした。元本の1.5倍になっても何も思いませんでした
- 売りたくなったのは3倍レバレッジのときだけ。 減る速さが3倍だと「いま売らな」が生まれます
- 外れていたのは、インデックスだけ。 レバレッジでも含み損でも、しっかりハマっていました
- 売りたくなるのは、見ているときだけ。嫁は目に入らなければ、資産額に関係なく何も思いません
- 衝動で売るのと、理由が変わって売るのは別物です
- 土台にあるのは「世界経済は長期では成長していく」という前提。ここが崩れたら成り立ちません
売りたくなったときのコツを一つだけ書くなら、何もしないことです。
売ることがゴールではありません。資産を育てることがゴールです。
とはいえ、こんな記事を書いている本人が、いまもビットコインをナンピンしています。
ディスポジション効果、名前がつくだけのことはありますね。
投資は自己責任でお願いします。この記事は特定の金融商品・制度を推奨するものではありません。